研究実績の概要 |
爆発的元素合成において生成された質量数A=130近傍のテルルやキセノンなど第2ピーク成分の形成に起因する中性子魔法数N=82を持つ130Cd, 129Ag, 128Pd, 127Rhを含む110個もの非常に中性子過剰な原子核の半減期測定に成功した。第1ピーク成分において重要な役割を果たすと考えられている2重魔法核78Ni(中性子数N=50, 陽子数Z=28)に比べ、79,80Ni,77Coの崩壊スピードが速くなるのに対し、N=82においては、崩壊スピードがなだらかに速くなることを明らかにした。得られた最新のデータを超新星爆発のネットワーク計算に取り込み、太陽系、および金属欠乏星の組成比と比較したところ、超新星爆発における原子核の中性子捕獲と光分解反応の平衡環境下における元素合成シナリオと矛盾しない結果を得た。さらに、超新星爆発における元素合成環境依存性をしらべた結果、希土類領域における「重元素存在比の普遍性」を確認した。一方、第2ピークにおけるスズ、アンチモン、ヨウ素、セシウムの生成量はr過程のタイムスケールによって大きく依存することが分かった。また、第2ピークから希土類領域における半減期の解析に成功しつつある。 一方、r過程で生成されたピークの微細構造を調べるために、非常に中性子過剰な原子核の遅発中性子放出確率、中性子エネルギー測定に向けた基礎的な実験を行った。データ解析を行い、実験装置の最適化のための情報を得ることに成功した。
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