研究課題
基盤研究(A)
ヘテロ構造ナノ粒子、カーボンナノチューブ、ナノリングなど幾何学的構造に特色があるナノ構造半導体の光物性およびマルチエキシトン状態の研究を行った。新しい構造のナノ粒子試料にはサイズや形状の不均一性が存在するため、単一のナノ粒子を選択的に励起し、光学特性を評価する必要がある。そのために、時間相関単一光子計数法を利用した微弱発光検出システムを構築し、単一ナノ粒子の発光強度、発光寿命、発光偏光度などの同時測定および光子相関測定を行った。コア・シェル型ナノ粒子やナノロッド中のナノ粒子の発光を、エキシトン、荷電エキシトン、バイエキシトンによるものに分類することに成功し、発光明滅現象(ブリンキング)の起源を議論した。また、フェムト秒過渡吸収分光法を用いて、正孔をドープした単層カーボンナノチューブにおける荷電エキシトンの生成・緩和ダイナミクスを研究した。ナノチューブに正孔をドープしていくと、エキシトンから荷電エキシトンへの速い緩和と荷電エキシトンの数ピコ秒スケールの再結合が観測された。これらの結果は、ダークエキシトンと荷電エキシトンのエネルギー準位とナノチューブ中の正孔分布を考慮した量子化再結合モデルで説明できることを明らかにした。さらに、サイズの異なるナノリング(シクロパラフェニレン)の時間分解発光測定から、エキシトン寿命を決定した。ナノリングの発光寿命は温度上昇とともに増加するが、これは1 次元リング中のエキシトンの熱分布で上手く説明できることを示した。
2: おおむね順調に進展している
時間相関単一光子計数法を基本とした高感度測定システムを構築し、ナノ粒子、カーボンナノチューブ、ナノリングなどの特色ある半導体ナノ構造におけるエキシトン、荷電エキシトン、マルチエキシトンの関与した発光測定に成功した。また、学会発表や論文での成果発表も順調に行うことができた。
これまでに構築してきた分光測定システムの改良と低温分光への拡張を行い、幅広い温度での測定を行う。新しいナノ粒子の作製にも挑戦し、マルチエキシトンの解明に挑戦する。
すべて 2014 2013 その他
すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 9件) 学会発表 (15件) (うち招待講演 2件) 備考 (1件)
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