研究課題/領域番号 |
25247055
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
青木 大 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (30359541)
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研究分担者 |
本多 史憲 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (90391268)
本間 佳哉 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (00260448)
李 徳新 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (40281985)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 強磁性超伝導 / スピン三重項 / 強磁性量子臨界点 / 国際情報交換 / フランス |
研究概要 |
ウラン化合物における強磁性超伝導の発見と磁場誘起超伝導(磁場で安定化する超伝導)の発見は重い電子系の物理に大きなブレークスルーをもたらした。研究代表者は一貫してこのテーマに取り組んでおり、これまでの知識・経験・技術を生かして、本研究では:(1)アクチノイド化合物における新奇強磁性超伝導体の発見、(2)純良単結晶育成を行ない、磁場誘起超伝導を含む極限環境下の量子臨界現象と強磁性超伝導に絡む新現象の探索を目指す。 本年度は、URhGe、UCoGeの純良単結晶育成を行ない、試料評価のための環境整備を行った。具体的にはチョクラルスキー法で単結晶育成を行ない、テトラアーク炉、放電加工機、X線装置等の整備を行った。同時に試料育成は、フランス、グルノーブルのCEAでも行ない、超高真空下での高温アニールを行なうことで純良単結晶育成に成功した。 極低温、強磁場下での電気抵抗、ホール係数、熱電能、シュブニコフ・ドハース測定により、リエントラント超伝導が出現する近傍の振る舞いを詳細に調べた。その結果、斜方晶のb軸方向に磁場を加えたときのみ、電子の有効質量が増大し超伝導が強磁場中で出現することを明らかにした。また、有効質量だけでなく、フェルミ面の強磁場中での不安定性が超伝導の発現にきわめて重要であることを見出した。これらの詳細に調べるために、ドハース・ファンアルフェン効果の測定システムを立ち上げることになった。金研・大洗では液体ヘリウムの購入がきわめて困難であるので、液体ヘリウムの再凝縮装置を購入した。 強磁性超伝導体だけでなく、強磁性量子臨界点近傍に位置する物質の極限環境下の物性測定も行ない、電子状態を詳細に調べた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
さまざまな試料育成法を開発しながら、当初の目的の一つであった強磁性超伝導体の純良単結晶育成に成功した。この試料は、共同研究者にも提供されさまざまな成果を挙げている。とくにフェルミ面の不安定性に着目した実験結果は、今後のドハース・ファンアルフェン効果の実験計画にもつながっており、当初の研究目的にほぼ合致している。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の導入したヘリウム再凝縮装置の整備を進めて、ドハース・ファンアルフェン効果の実験をすすめる。東北大金研・大洗センターでは液体ヘリウムの購入がきわめて困難であり、今後の需給バランスによっては実験を進められない可能性もある。その際は、研究協力を行なっているCEA-Grenobleで試料育成、実験をすすめる予定である。
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