研究課題
強磁性と超伝導は、通常は共存することができない。強磁性には強い内部磁場が働いており、超伝導電子対を破壊してしまうからである。理論的には、強磁性量子臨界点近傍で、スピン三重項による超伝導が予想されていたが、近年まで実験で明らかになった例はなかった。ウラン化合物であるUGe2で強磁性と超伝導の共存が初めて発見されて以降、これまでにURhGe、UCoGeの強磁性超伝導が発見されている。いずれもウラン化合物であり、5f電子系物質がきわめて興味深い物質群であることを示している。これら強磁性超伝導体の最も特徴的な性質は、高い超伝導上部臨界磁場Hc2である。本研究では、強磁性超伝導の性質を精密物性測定から明らかにすること、また高いHc2を含む磁場誘起現象を実験的に明らかにすることを目的として研究をすすめた。本年度は、磁場あるいは圧力で誘起されたフェルミ面の不安定性とリフシッツ転移を、熱電能、磁気抵抗、ホール効果、ドハース・ファンアルフェン効果など、極限環境下における多数の実験手段を用いて多角的に研究をすすめた。その結果、URhGeにおいては磁場誘起超伝導を引き起こす要因となっているスピン再配列近傍でフェルミ面が大きく変わること、また弱い一次の転移が起きていることが明らかになった。また、UCoGeにおいては強磁性が抑制される臨界圧近傍でやはりフェルミ面の再構築が起きていることが分かった。強磁性超伝導体の特異な磁場誘起現象は、スピンゆらぎだけでなくフェルミ面のゆらぎも重要な役割を果たしていることが分かった。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (16件) (うち国際共著 14件、 査読あり 16件、 オープンアクセス 16件、 謝辞記載あり 16件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 3件、 招待講演 2件)
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