本計画では、幾何学的フラストレート磁性体やスピングラス等を対象に、その新奇な相構造や磁気秩序の解明を目指した。研究の主たる研究成果として、1)フラストレーションとランダムネスが誘起する特異な「量子スピン液体状態」の種々の2次元フラストレート格子磁性体における同定、2)規則的な量子フラストレート系における特異な有限温度クロスオーバー現象の発見、3)ランダム磁気異方性を持つハイゼンベルグ型スピングラスの秩序化におけるレプリカ対称性の破れと関連した特異現象の発見、4)スピンと伝導電子がカプルした1次元近藤モデルにおける、新たなコリニア相やカイラル相を含む豊富な相構造の発見、等が挙げられる。
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