研究課題
本年度は昨年度までに完成・改良したSQUID顕微鏡を用いて、地質試料の分析と解釈を進め、学会発表・論文発表ならびにプロジェクトホームページの作成を行った。鉄マンガンクラストについては正徳海山・拓洋第5海山・半沢海山・琉球海溝の4地点の試料について分析を行った結果、陸に近い琉球海溝を除く3地点では磁気縞模様から成長速度を見積もることに成功し、それぞれ4.5 mm/Myr(過去78万年について)、3.4 mm/Myr、2.7 mm/Myrであることがわかった。これらは、10Be/9Be法で推定されている成長速度と整合的であった。一方、陸域に近い琉球海溝の磁気画像には多数の小さな双極子的な磁場が分布する様子が見られ、明瞭な磁気縞は確認できなかった。陸起源の多磁区磁性鉱物粒子が双極子的な磁場となって磁気縞模様の判読を困難にしていると思われる。正徳海山については、マイクロフォーカスX線CTデータから微細構造の読み取りも行った。また、拓洋第5海山については等温残留磁化(1.4T)およびその後の逆向き磁場をかけた磁気マップ(-0.3T)からインバージョンにより残留磁化を計算し、S比の計算を行った。この結果、約300万年前から現在にかけて高保磁力磁性鉱物(赤鉄鉱あるいは針鉄鉱)がパッチ状に存在すること、これらは柱状に伸びた成長構造の隙間に対応することがわかった。また、淡路島の野島断層試料からは、磁気マップで強い磁場を示す部分と過去の断層滑り面が対応すること、高温加熱によって磁性鉱物が生成された可能性が示唆された。さらに、琵琶湖堆積物、やまと隕石の炭素質コンドライト、樹木年輪試料、ならびに太古代岩石から取り出したジルコン単結晶について磁気マップを行ったが、これらについては研究を継続中であり、追加分析と解釈をすすめて成果発表を行う予定である。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2017 2016 その他
すべて 国際共同研究 (5件) 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 3件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 4件、 謝辞記載あり 5件) 学会発表 (24件) (うち国際学会 10件、 招待講演 2件) 図書 (1件) 備考 (1件)
Earth Planets Space
巻: 69 ページ: -
10.1186/s40623-017-0638-y
Geophysical Research Letters
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
10.1002/2017GL073201
10.1186/s40623-016-0595-x
巻: 68 ページ: -
10.1186/s40623-016-0549-3
10.1186/s40623-016-0493-2
Ore Geology Reviews
10.1016/j.oregeorev.2016.07.018
IEEE Transactions on Applied Superconductivity
巻: 26 ページ: -
10.1109/TASC.2016.2536751
https://unit.aist.go.jp/igg/pgd-rg/SQUID/index.html