研究課題
1局送信、2局で受信する新たな海洋レーダシステムを完成させ、対馬暖流が分岐するとされている海域の海面流速を連続的に観測した。今年度は、昨年度末に完成させた混合信号除去システムを受信システムに組み込み、ノイズの大きい観測海域において海面から散乱された微弱な電波を受信できるようにした。本システムは、受信局と180km程度離れた送信局からの直達波を受信し、その直達波と全く同じタイミングで受信機内に送信波を発生させ海面からの散乱波とビートをとり、狭い帯域のバンドパスフィルターを通すことで前述のことを実現させた。この新たなシステムにより、長崎県対馬局から170km離れた海域からの散乱波も十分な精度を持って受信できることが確認された。対馬海峡西水道を通り日本海に流入後、200m等深線に沿って東へ流れるとされる対馬暖流第二分枝は、長崎県対馬局から150km程度に位置するとされていることから、本システムにより目的としていた対馬暖流の分枝流をとらえることができた。途中、落雷などによりシステムの故障があったが、6ヶ月程度のデータを蓄積することができた。平成26年度に行った各局で送受信を行ったデータと合わせると、各季節の対馬暖流第二分枝の状況を観測したことになり、当初予定していた、対馬暖流第二分枝流の季節変化の把握は達成できた。得られたデータから、海洋物理的な解析と、電波科学としての解析を行いそれぞれ論文としてまとめている。また、このようなデータは今後取得することが難しいと思われることから、データのクオリティーチェックを行い、データセットとしてまとめる作業を行っている。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Remote Sensing of the Asian Seas
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海洋水産エンジニアリング
巻: 128 ページ: 68-74