研究課題
本研究課題では、近代的な宇宙観測が始まって以来最も低い太陽活動サイクル24において太陽風がどの様なグローバルな分布をしているかを、名大STE研の惑星間空間シンチレーション(IPS)観測から正確に決定し、特異な太陽ダイナモ活動に対する太陽圏の応答を明らかにしようとしている。IPS観測において精度よく太陽風の分布を決定するには観測に使用する電波望遠鏡の感度を向上させる必要がある。そこで、研究計画の初年度(平成25年度)には、富士・木曽の電波望遠鏡に新型の低雑音受信機FE327-V5を組み込み、その効率を最適化するため位相・利得校正システムおよび受信機温度測定システムを開発した。これらの開発は、平成24年度補正予算による観測システム更新と連携して実施している。また、富士・木曽の電波望遠鏡の更新作業が開始される前に豊川の電波望遠鏡を含めた3地点で同時にIPS観測を実施して、サイクル24極大期における太陽風速度の分布を求めた。極大期には太陽風の南北非対称性が卓越することが知られており、このデータからは今サイクル極大期と過去の極大期の違いが明らかにできる。取得したデータからは北極に高速風が出現する一方、南極には低速風が存在していることが判った。さらに、平成25年11月23-24日には海外の研究者を招いて国際研究集会(Nagoya IPS Workshop 2013)を開催し、最新の研究結果や今後の共同研究について議論している。
3: やや遅れている
開発途中で富士の電波望遠鏡が台風により被害を受けたため、計画は予定より遅れた。このため木曽の電波望遠鏡への低雑音受信機の組み込み及び調整は12月の積雪によって当該年度に実施できず次年度へ繰り越しになった。それ以外(富士の電波望遠鏡への低雑音受信機の組み込み及び調整作業)はすべて年度内に実施できた。
木曽の電波望遠鏡への低雑音受信機の組み込みと調整を早期に完了させ、豊川・富士・木曽での3地点同時IPS観測を開始する。得られたデータからはサイクル24における太陽風分布について解析を行い、その結果を逐次論文にまとめる。
すべて 2014 2013 その他
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件) 備考 (2件)
Geophysical Research Letters
巻: 41 ページ: 1420-1424
DOI: 10.1002/2014GL059391
Outstanding Problems in Heliophysics: From Coronal Heating to the Edge of the Heliosphere
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doi: 10.1063/1.4811041
http://stsw1.stelab.nagoya-u.ac.jp/
http://stsw1.stelab.nagoya-u.ac.jp/ips_nagoya.html