研究課題/領域番号 |
25247082
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
堀内 一穂 弘前大学, 理工学研究科, 助教 (00344614)
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研究分担者 |
宮原 ひろ子 武蔵野美術大学, 造形学部, 講師 (00532681)
根本 直樹 弘前大学, 理工学研究科, 講師 (20208292)
渡邊 隆広 東北大学, 環境科学研究科, 助教 (40436994)
小田 啓邦 独立行政法人産業技術総合研究所, その他部局等, 研究員 (90356725)
川村 賢二 国立極地研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (90431478)
松四 雄騎 京都大学, 防災研究所, 准教授 (90596438)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | アイスコア / 堆積物 / 宇宙線生成核種 / 宇宙線 / 古地磁気学 / 層序年代 / 放射年代 / 国際研究者交流 |
研究概要 |
ドームふじアイスコアの酸素同位体ステージ5と7を対象に,数十年の時間分解能でベリリウム10を分析することで,宇宙線層序年代の土台となるアイスコア標準曲線の詳細化がなされた.また,西暦773年の炭素14ジャンプイベントに相当する区間にて,単年時間分解能でベリリウム10の分析を行い,これに該当するベリリウム10の増大を発見した.このことは,年単位での宇宙線層序の可能性を開拓するものである.研究分担者の所属する武蔵野美術大学に実験環境を整備し,試料の実分析結果などに基づいて,太陽活動に着目した炭素14記録とベリリウム10記録との同化手法を検討した.また,新たに取得された年代束縛点を利用して,ドームふじアイスコアの年代モデルの更新が試みられた.イオン濃度記録を手がかりとしながら,主にアルミニウム26を対象として,アイスコア標準曲線の複数核種化が着手された. 赤道太平洋域西カロリン海盆堆積物から得られた過去30万年間のベリリウム同位体記録を,これまでより詳細な約千年の時間分解能にまで高密度化した.この記録を,同一試料から得られた古地磁気変動記録と信号解析学的手段を用いて比較することで,ベリリウム同位体変動の性質と古地磁気の獲得機構に関する問題を定量的に議論することができた.また,ここでも複数核種化を実現するために,アルミニウム26のパイロット分析を行った.その結果,適正な試料量や分析手段を確立でき,将来の有孔虫殻分析のための基礎データも得ることが出来た.さらに,本年度に購入した実体顕微鏡システムを用いて,有孔虫化石殻の拾い出しを開始した. アジア古代湖の湖底堆積物に含まれる地表生成のベリリウム10とアルミニウム26の分析を再開した.また得られた結果を解釈するために,堆積物の流入過程と湖内環境の情報を整理し公表するとともに,地表面の宇宙線生成核種データについて検討を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度の研究実施計画は,大きく分けて,①アイスコア標準曲線の詳細化,②アイスコア標準曲線の複数核種化,③海底堆積物への標準曲線の適用,④地表生成複数核種を利用した年代決定,であった.これらの大項目は何れも着手され,大項目中の個別の課題もそのほとんどが予定通り着実に進行している.しかし,限られた一部には若干の遅れが認められる.それらはすなわち,②に関する塩素36の分析と③に関する有孔虫化石のベリリウム10分析である.
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今後の研究の推進方策 |
計画の遂行に大きな問題は生じていないことより,ほぼ当初の計画通り課題を推進する予定である.
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