研究課題
[事件3] 2度目の大気酸素の増加期に相当する。応募者の堆積有機分子分析の結果により、エディアカラ紀―カンブリア紀初期の多細胞動物の進化と呼応して、3段階でより深い海へ酸素が入って行く様子を捉えた。[事件4] その後、陸の生態系進化が起きた。デボン紀中期に大気酸素量が極小になり、石炭紀後期に極大になった。堆積有機分子と元素等からデボン紀後期とデボン紀―石炭紀境界の大量絶滅時の陸上維管束植物の植生崩壊と土壌流出と浅海溶存酸素低下を捉えた。[事件5] ペルム紀末大量絶滅の原因はシベリアの火山活動である。ペルム紀最後期―三畳紀初期の水深別海洋酸素構造変化を堆積有機分子と元素等から明らかにし、ペルム紀末大量絶滅の主因は表層水中の酸素と生物必須元素の不足とした。[事件6] 白亜紀―古第三紀境界の恐竜の絶滅は小惑星の衝突が原因であるが、硫酸エアロゾル説が否定されたため、そのプロセスが不明になった。堆積有機分子により、小惑星の衝突による有機物が燃焼し衝突孔からすすが成層圏に入りグローバルに拡散したことを突き止めた。
2: おおむね順調に進展している
当初の予定の研究を行い、生物の進化絶滅上の重要な4つの事件について、上記の本質的に重要な成果を得たから。また、事件3と5について国際誌に投稿したから。以上の研究成果により、下記の重要な今後の研究の推進方策を見い出せたから。
[事件1] 地球最古の生物の証拠は始生代始めの38億年前の有機炭素同位体比と生物の痕跡であるが、応募者はさらに古い39億5000万年前の浅海成堆積岩から生物起源の有機分子の検出を試みる。[事件2] 大気中に酸素が蓄積し始めたのは、古原生代初期の全球凍結後の約23億年前頃と考えられているが、40億年前と35億年前、27億年前、25億年, 24―23億年前について酸素の有無を調べる。約23億年前の全球凍結前後の気候を調べる。[事件4] 陸の生態系進化が起きたデボン紀の地衣類と陸上維管束植物量変化と海への土壌流出量変化と浅海の溶存酸素環境を捉え、多細胞生物の陸上進出とそれによる海洋環境と大気酸素の激変のプロセスを解明する。[事件5] ペルム紀末大量絶滅の原因はシベリアの火山活動である。ペルム紀最後期―三畳紀初期の水深別海洋酸素構造変化を明らかにし、ペルム紀末大量絶滅の主因は表層水中の酸素と生物必須元素の不足とした。今後は、陸上植生の崩壊と海洋生物の大量絶滅の過程を陸成層と浅海層の有機分子と下記の大気海洋モデル計算により明らかにする。火山活動が原因の三畳紀末大量絶滅について同様の研究を行う。[事件6] 白亜紀―古第三紀境界時の成層圏すすエアロゾルが、太陽光を吸収して、どの程度の気候変動を起こすのかを海洋モデル計算により調べる。それにより大量絶滅が説明できるかを検証する。
すべて 2015 2014 その他
すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 3件、 査読あり 6件、 謝辞記載あり 6件) 学会発表 (15件) (うち国際学会 7件、 招待講演 1件)
Palaeogeography, Palaeoclimatology, Palaeoecology
巻: 417 ページ: 573-575
http://dx.doi.org/10.1016/j.palaeo.2014.10.016
Earth and Planetary Science Letters
巻: 393 ページ: 94-104
DOI:10.1016/j.epsl.2014.02.041
Palaeogeography Palaeoclimatology Palaeoecology
巻: 403 ページ: 16-29
DOI:10.1016/j.palaeo.2014.02.033
Organic Geochemistry
巻: 73 ページ: 113-122
DOI:10.1016/j.orggeochem.2014.05.007
巻: 412 ページ: 241-248
http://dx.doi.org/10.1016/j.palaeo.2014.07.041
巻: 404 ページ: 30-43
Doi:10.1016/j.palaeo.2014.03.021