研究課題
M9巨大地震により日本列島の広域応力場が変化し、火山活動の長期に渡る活発化が懸念されている。本研究では、有珠、伊豆大島、三宅島、富士火山に関する東工大高橋研のこれまでの研究を発展させつつ、噴火の危険性の高い他の火山についても深部構造と火山活動の仕組み解明を目指す。東工大高橋研の持つ高圧発生装置を用いてマグマ結晶化の精密な再現実験を行い、マグマ溜りの深さ、温度、含水量、酸化状態を各火山について推定する。火山下の地殻及び上部マントルの地震波トモグラフィを精密決定し、実験結果の熱力解析、噴出物の岩石学的特徴、火山活動史と照合して信頼性の高いマグマ供給系モデルをそれぞれの火山について構築する。各火山の今後の活動について噴火モデルを作成し、予想される火山噴火について予測シナリオを立てることを目標に掲げた。計画の最終年度である平成28年度は、わが国最大級のカルデラ噴火を繰り返し行った阿蘇火山に着目して高圧実験を行った。阿蘇火山の最大噴火であるAso-4噴出物の中で、最もSiO2に富むことから珪長質端成分のマグマと見なすことができるKJ5665を出発物質に選んだ。岩石を粉末にし、あらかじめ東工大のSMC-8600と産総研設置の内熱式ガス圧装置HARM200により3種の含水量で含水ガラスを合成した。この含水ガラスをSMC8600による高温高圧実験の出発物質に用いた。カプセル構成はダブルカプセル法を採用し、アウターカプセルに金、インナーのサンプルカプセルにAg50Pd50合金を用いて実験した。酸素雰囲気緩衝材(Ni + NiO + H2O)を封入することでNi-NiOが共存する酸素雰囲気にバッファした。実験結果からAso-4噴火直前のマグマ溜まりの温度圧力条件は200MPa、900℃であり、含水量は比較的少なかった(~2wt.%)ことが判明した。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
代表者が2017年3月に東工大を退職したことからホームページは掲載しないこととする。
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