研究課題
基盤研究(A)
本研究の目的は,原始太陽におけるスーパーフレアのような高エネルギー現象の規模やエネルギーレベルを推定し,活発な原始太陽活動に関する新しいパラダイム構築をすることである.そのために,ガスリッチコンドライトにトラップされた高濃度希ガス成分のトラップ箇所を特定しその濃度の空間分布をサブミクロンの分解能で解析する.従来このような希ガス分析は実現不可能であったが,新開発の同位体ナノスコープが実現可能にした.その空間分布のテクスチャー解析からガスリッチコンドライトが太陽起源希ガスをトラップしたメカニズムを解明し,原始太陽活動との関連性を明らかにする.本研究により原始太陽のスーパーフレアにより太陽表面からの爆発的に放出される粒子のエネルギー分布やそのフラックスを物質科学的に解明することを目指す.本年度は以下の研究成果が得られた.1. 同位体ナノスコープを用いたHe の定量法の開発を完成させた.現在の同位体ナノスコープのHe濃度の検出限界は2μm四方領域において100ppm 程度である.2. 数ミクロンのGa ビームを用いてNWA801 隕石のマトリックス中のHe 濃度分布を測定を開始した.3. 購入したコントローラ,イオンモニタ用AD,タイミングジェネレータを用い濃度分布を計測するときの検出部を製作した.4. コンドリュールのケイ酸塩鉱物部のHe 濃度分布の測定を開始した.5. NASA Genesisミッションの太陽風測定を開始した.
2: おおむね順調に進展している
実験実施計画に予定していた検出器の製作が完了し,期待通りの性能を発揮した.それにより固体中のHeの局所分析に成功し,隕石試料測定への適用を可能にできたため.
隕石試料のHe濃度分析を進め,分析結果が原始惑星円盤中に浮かんでいたダスト粒子表面からイオン注入された機構を示しているかどうかの検討を行う方策である.
すべて 2013 その他
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件) 学会発表 (38件) (うち招待講演 11件) 備考 (1件)
Geochimica et Cosmochimica Acta
巻: 102 ページ: 261-279
10.1016/j.gca.2012.10.039
Journal of the American Society for Mass Spectrometry
巻: 24 ページ: 222-229
10.1007/s13361-012-0528-2
International Geology Review
巻: 55 ページ: 453-467
10.1080/00206814.2012.723857
Lithos
巻: 164-167 ページ: 23-25
10.1016/j.lithos.2012.11.024
巻: 122 ページ: 306-323
10.1016/j.gca.2013.08.007
Meteoritics & Planetary Science
巻: 48 ページ: 1651-1677
10.1111/maps.12154
巻: 48 ページ: 2015-2043
10.1111/maps.12216
http://vigarano.ep.sci.hokudai.ac.jp/