研究課題/領域番号 |
25247092
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研究機関 | 独立行政法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
大河内 直彦 独立行政法人海洋研究開発機構, 生物地球化学研究分野, 分野長 (00281832)
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研究分担者 |
米田 穣 東京大学, 総合研究博物館, 教授 (30280712)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | アミノ酸 / 放射性炭素 |
研究実績の概要 |
平成26年度は,高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて,アミノ酸を誘導体化せずに単離する方法の確立および高度化を行った。まずは標準試料を用い,平成26年度後半はコラーゲン試料を対象とした単離法の開発を行った。簡単にまとめると,次のようになる。HPLCは2段階で行う。第1カラムではShiseido CAPSELL PAK C18を用い,ピークが重なって単離できない一部のアミノ酸に関しては,いくつかを一括して単離し,第2カラム(Primesep A)を用いて単離する。単離された個々のアミノ酸には,カラム由来の不純物が含まれているため,その後単離試料を乾燥化した後,再結晶化を行うことによってそれらを除去する。この工程により得られた各アミノ酸(標品)は,炭素安定同位体比およびC/N比が予測値と一致し,アミノ酸がきちんと精製できていることが明らかになった。また一部の単離アミノ酸については放射性炭素も測定し,それが予測される値と一致することも確認した。今後,すべてのアミノ酸について放射性炭素年代測定を行う予定である。現時点で,天然産のコラーゲン2試料について本方法論を応用している。それによると,単離されたヒドロキシプロリンの放射性炭素年代は,いずれも予測された値(それぞれ7350年および7380年)とよく一致し,この方法が少なくともコラーゲンに応用できることが明らかになった。今後は,より多くの不純物が含まれる堆積物へと応用する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
アミノ酸の単離法の確立に,予想以上に時間がかかっている。その理由は,HPLCだけでは単離が完全ではないことが判明し,その後に再結晶化というプロセスを付け加えねばならなかったことにより,その実験法の確立に時間を費やしたためである。今後,スピードアップして平成27年度末の研究の終了時期には,実際の堆積物試料に応用するところまで持っていきたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
先にも述べた通り,今回確立したアミノ酸の単離法が少なくともコラーゲンに応用できることが明らかになった。今後は,より多くの不純物が含まれる堆積物へと応用することになる。再結晶化による精製プロセスさえうまくいけば,本方法をそのまま堆積物に応用することは可能と考えている。また研究のスピードアップを図るため、学生に研究協力者として研究に参加してもらうことを考えている。
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