研究課題
X線自由電子レーザー励起原子準位レーザーとして、これまでの記録を一ケタ短くした世界最短波長を発振に成功し、その結果をNatureに発表した。一方、実験では、さらにX線レーザーの高コヒーレント化のために、幾何学的な表面構造を持つターゲットや多層構造を乙ターゲット、さらには銅原子間の相互作用が小さい化合物ターゲットでの実験を行い、観測されたスペクトルから、コヒーレンスの制御がハードX線の領域でも可能なことを見い出した。理論的な研究も、電子軌道の空孔によるスペクトルを、孤立原子状態であるが各準位で網羅的に調べることを行い、そのエネルギーシフトが起きた遷移でも利得が観測できることを示した。このことは、1つの1s-2p遷移を使って広帯域なX線レーザーを生成で切ることを意味しており、アト秒への短縮化に向けて、実現的な方法が見いだせたことになった。一方固体密度中の原子を取り扱う理論モデルの開発が急務で、実験で得られている特徴的なスペクトルを説明するために、特に、固体内原子の共鳴ハードX線による分極を考慮する必要がある。分極も固体密度となると、隣接原子の影響や固体内のバンド構造による影響を受けるために、非励起原子の基底関数すら求めるのが困難になる。隣接原子の影響は、その原子自身の励起による変化だけでなく、イオン化した電子が伝導帯内に放出され、それが電子プラズマ波となって伝播することも考慮する必要がある。そこで、我々は、原子に対して連続状態と束縛状態を密度行列形式の時間依存Hartree-Fock解法用いて記述し、通常2準位原子系で用いられるBloch方程式を多準位原子系+連続状態に拡張して解く方法の開発を開始した。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Nature
巻: 524 ページ: 446-449
10.1038/nature14894