研究課題/領域番号 |
25247094
|
研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
斉藤 輝雄 福井大学, 遠赤外領域開発研究センター, 教授 (80143163)
|
研究分担者 |
山口 裕資 福井大学, 遠赤外領域開発研究センター, 特命助教 (10466675)
立松 芳典 福井大学, 遠赤外領域開発研究センター, 准教授 (50261756)
久保 伸 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 教授 (80170025)
田中 謙治 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 准教授 (50260047)
|
研究期間 (年度) |
2013-10-21 – 2017-03-31
|
キーワード | 国際研究者交流 / ジャイロトロン / テラヘルツ / プラズマ計測 / 協同トムソン散乱 / LHD |
研究実績の概要 |
本研究を開始した平成25年度において、製作済みのプロトタイプジャイロトロンを用いて、前半の200 kW以上の出力確認に続いて、後半では、ジャイロトロンの設置位置調整と運転条件の最適化により、ビーム電圧65 kV、ビーム電流11 Aにおいて最高出力234 kWを達成した。さらに内蔵モードコンバータの動作と狭帯域な発振周波数スペクトルを確認した。平成26年度には、ビーム電圧65 kV、ビーム電流14 Aにおいて最高出力246 kWを達成した。これにより、サブテラヘルツ帯において高出力ジャイロトロンを実現するための設計コンセプトの妥当性を実証した。この結果を学術論文として公表した。また、目標のCTS計測に適用するための実機ジャイロトロンを設計した。このジャイロトロンは、プロトタイプジャイロトロンで得られた安定性を保持するための知見を最大限活かしながら、300 kWの長パルス発振を実現するため、共振器半径を大きくしてより高次のモードで発振させる。前述のプロトタイプ管の最大出力達成結果と合わせて、実機ジャイロトロンの設計の考え方・期待される出力等を、国際会議において招待講演発表した。本ジャイロトロンは完成し、出力試験が開始できる状態になっている。 CTS計測には、光源とともに伝送系が必要であり、核融合研で設置済みのコルゲート導波管を使用予定である。平成26年度は、コルゲート導波管の予備管を用いて、0.3 THz帯の予備的伝送試験を行い、コルゲート導波管の1 m 当たりの伝送率を評価した。また、ロシア応用物理学研究所のペテリン教授の協力を得て、伝送系開発における次年度の中心課題であるノッチフィルター開発に向けた手順を整理した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要欄で示したように、プロトタイプ管において約250 kWを達成し、サブテラヘルツ帯ジャイロトロンにおいて安定な高出力発振を得るための設計概念の妥当性を実証した。この知見に基づいて実機ジャイロトロンの詳細設計を行い、当初の予定どおり、年度内に製作を完了した。この準備に基づき、次年度では、当初手順通りに実機ジャイロトロンの出力試験が実施可能になっている。さらに、伝送系の準備にも着手し、初期結果に基づいて、27年度の中心課題を整理できている。
|
今後の研究の推進方策 |
当初のロードマップに沿って研究を進める。 平成26年度に設計・製作したCTS計測に適用するための実機ジャイロトロンの発振試験を平成27年度早期から開始し、300 kW以上の出力を実証する。0.3 THz帯のジャイロトロンで発振効率30%以上が得られれば、学術的意義は大きい。ここで重要なことは、単に高出力達成の確認ではなく、高出力サブテラヘルツ帯ジャイロトロンの物理と設計手法の学術的知見への貢献である。モード競合の有無、発振の安定度、放射パターン計測による内蔵モード変換器の動作確認、複数モード発振に対する2重真空窓の効果実証などである。さらに、本研究では、サブテラヘルツ帯ジャイロトロンの高出力安定発振実現のために必要な高品質電ビームを実現する電子銃を独自の手法に基づいて設計している。ジャイロトロンの特性試験を通して、電子銃の動作解析を行う。 もう1つの重要な要素である伝送系開発は次のように進める。先ず、平成26年度に行ったコルゲート導波管の予備管を用いた0.3 THz帯の伝送試験に続いて、設計パラメータの異なるコルゲート導波管の伝送試験を行う。これにより、使用する伝送系を選択するとともに、散乱信号受信系の設置位置を検討する。また、準備済みの受信系の感度試験を行うとともに、核融合研のLHD装置において、CTS実験に対するノイズ源である電子サイクロトロン放射(ECE)強度の測定を試みる。さらに、受信系の保護に不可欠のノッチフィルターの開発に着手する。 現時点で、当初計画の再検討や変更する必要はない。平成27年度の結果を経て、最終年度である平成28年度には、ジャイロトロンの長パルス化試験、伝送系の準備を進めて、LHDにおいてCTS計測装置を構築するための基盤を確立する。
|