極限まで高度化した独自のフェムト秒時間領域ラマン分光により、光受容タンパク質の初期の分子過程を生理条件のもとに観測し、解明した。特にイエロープロテインでは、励起状態の低波数ラマン信号の振舞いを初めて観測し、光吸収後の100 fsで発色団と隣接するアミノ酸残基との間の水素結合が弱くなることを示した。また、発色団が励起状態の間は初期のトランス型構造を保持するのに対し、最初の基底状態中間体では捩れたシス型に異性化していることを明らかにした。さらに、新規の2次元フェムト秒ラマン励起プロフィール分光を開発し、超高速異性化に伴う励起分子の振舞いを構造の観点から可視化することに成功した。
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