研究課題/領域番号 |
25248017
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
小江 誠司 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60290904)
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研究分担者 |
松本 崇弘 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90570987)
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研究期間 (年度) |
2013-10-21 – 2016-03-31
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キーワード | バイオミメティクス / 燃料電池 / 分子触媒 / 酵素 |
研究概要 |
現在、世界の電力は火力と原子力発電に依存している。二酸化炭素の排出と環境汚染を抑制するためには新たな発電システムが必要である。発電中に水しか排出しない水素燃料電池は、このような環境・エネルギー問題を解決する可能性を持った発電デバイスである。しかし、従来の燃料電池の電極触媒に使用されている白金にはいくつか重大な課題があり、それらの課題を克服する白金代替触媒の開発が急務である。これまでの白金代替触媒はそのほとんどすべてが固体触媒であり、「自然界の酵素を範とした分子触媒を白金代替触媒とする燃料電池の研究」は申請者が開拓した新学問領域である。本研究の目的は、自然界の酵素を範とし「白金触媒燃料電池を超える錯体・酵素複合燃料電池の開発」である。 上記の研究目的に基づき、初年度は燃料電池の新規触媒開発とその性能評価実験を行った。開発した新規電極触媒をカーボンブラックに担持し、それをカーボンクロスに塗工してガス拡散層を作成した。作成したガス拡散層をプロトン透過膜を挟み込み、膜・電極接合体を作成し、その膜・電極接合体を用いて固体高分子形燃料電池を作成して、燃料電池評価実験を行った。アノードとカソードには飽和水蒸気を含む水素と酸素をそれぞれ供給した。電池としての性能を示す電流-電圧曲線や電流-電力曲線を測定し、さらに、アノードとカソードでそれぞれ分極曲線を測定した。さらに、ターフェルプロットやインピーダンススペクトル測定により、電極触媒の特性を詳細に検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」に記載の研究成果は、未発表であるが、論文投稿の最終段階である。本研究成果では非常に良好なデータが得られており、研究はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
研究目的である「錯体・酵素複合燃料電池の開発」を目指し、錯体と酵素を用いた新規電極触媒の開発を行う。具体的な新規錯体として、ニッケルや鉄など、第一周期遷移金属を中心に二核金属触媒を設計・合成する。また酵素としては、新規酸素耐性ヒドロゲナーゼを探索・単離して使用する。これらの新規触媒をカーボンに固定化する方法についても検討を行う。開発した電極触媒の詳細な特性評価実験を行う。
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