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2015 年度 実績報告書

氷で制限されたナノ-マイクロ空間の分析化学

研究課題

研究課題/領域番号 25248034
研究機関東京工業大学

研究代表者

岡田 哲男  東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (20183030)

研究分担者 大塚 拓洋  東京工業大学, 理工学研究科, 助教 (20280993)
半田 友衣子  国立研究開発法人産業技術総合研究所, その他部局等, 研究員 (20586599)
火原 彰秀  東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (30312995)
原田 誠  東京工業大学, 理工学研究科, 助教 (60313326)
山本 佳孝  国立研究開発法人産業技術総合研究所, その他部局等, 研究員 (80358283)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2017-03-31
キーワード氷 / 共存液相 / 分離 / イメージング
研究実績の概要

今年度は以下の検討を行った。
1. グレインバウンダリーチャンネルのサイズチューナビリティーを利用する分離法の適用性をマイクロ粒子からナノ粒子や分子にまで拡大するために、氷隔壁を用いる方法を考案し、構築に成功した。これまでに、ナノ粒子の隔壁透過速度の測定に成功しているが、隔壁を薄くすることで、透過速度を大きくすることが重要である。
2.氷の表面状態を評価するためにゼータ電位を測定する方法を考案した。この方法は、マイクロ粒子の電気泳動を利用する方法であり、マイクロチップ電気泳動と氷内の液相チャンネル中での粒子の移動度の違いから、電気浸透粒速度を測定することに基づく。より信頼性の高い値を決定するためには媒体の粘性を決定する必要があるが、低温での値は求められていない。粘性測定のために、蛍光の自己相関、蛍光性分子の蛍光消光速度測定などに基づく測定を開始した。
3.シアーフローアイスクロマトグラフィーの装置を完成し、NaOHドープ氷を固定相とする方法により、アニオン性のフルオレセインとカチオン性のローダミンの分離が可能であることを示した。また、ピークの広がりの時間依存性から氷と移動壁に囲まれた空間の厚さを決定できることを示した。
4.氷と共存する液相と有機溶媒間のテトラメチルアンモニウイオンのイオン移動ボルタンメトリー測定に成功した。氷の温度が低下し、共存液相が小さくなるにつれて水和エネルギーが小さくなることを見出した。
5.NaClをドープ下氷表面の液相を三次元的に可視化することに成功した。高エネルギー加速器研究機構およびSPring8の共同利用により、数μm毎の計測で得られた二次元画像に基づき、液相中にNaClが相図にしたがって濃縮されたことを想定すると、三次元が増加することが可能であることを明らかにした。これにより、氷表面のグレインバウンダリーの深さを評価できることを示した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

予定していたすべての項目でポジティブな結果が得られた。さらに、当初想定していなかった氷表面液相の三次元イメージングに成功した。三次元イメージングについては測定対象元素を増やすことで、エネルギーの違いを利用したさらに精密な計測法に発展させられる可能性を秘めている。

今後の研究の推進方策

凍結濃縮と液相のサイズの制御により、資料前処理の効率化や測定の高感度化を図ることで本研究のアプローチの優位性を示す。また、これらの検討を通じてバルクの延長線上にある現象と、バルクからは予想できない現象を明確化し、その期限についての洞察を得る。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 6件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Chiral Resolution with Frozen Aqueous Amino Acids2016

    • 著者名/発表者名
      S.Takahashi, M.Harada, T.Okada
    • 雑誌名

      Analytical Methods

      巻: 8 ページ: 105-110

    • DOI

      10.1039/C5AY02522B

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] X-ray Fluorescence Imaging of Frozen Aqueous NaCl2016

    • 著者名/発表者名
      K.Tokumasu, A.Hibara, T.Okada
    • 雑誌名

      Langmuir

      巻: 32 ページ: 527-533

    • DOI

      10.1021/acs.langmuir.5b04411

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Microfluidic Protein Crystallisation Controlled Using Spontaneous Emulsification2015

    • 著者名/発表者名
      M.Fukuyama, A.Akiyama, M.Harada, T.Okada, A.Hibara
    • 雑誌名

      Analytical Methods

      巻: 7 ページ: 7128-7131

    • DOI

      10.1039/c5ay00578g

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Freeze Enrichment Protocol Based on Voltammetric Probing of Liquid-Phase Growth in Frozen Aqueous Electrolyte Solutions2015

    • 著者名/発表者名
      Q.Hui, M.Harada, T.Okada
    • 雑誌名

      Analytical Chemistry

      巻: 87 ページ: 4314-4320

    • DOI

      10.1021/acs.analchem.5b00747

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Ion-Transfer Voltammetry at the Interface between Organic and Salt-Doped Ice Phases2015

    • 著者名/発表者名
      Q.Hui, M.Harada, T.Okada
    • 雑誌名

      ChemElectroChem

      巻: 2 ページ: 1249-1253

    • DOI

      10,1002/celc.201500181

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Fluidic Grooves on Doped-Ice Surface as Size-Tunable Channels2015

    • 著者名/発表者名
      A.Inagawa, M.Harada, T.Okada
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 5 ページ: 17308(10 pages)

    • DOI

      10.1038/srep17308

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 新規な特性と機能を持つ分離場の開拓と界面計測への展開2015

    • 著者名/発表者名
      岡田哲男
    • 学会等名
      日本分析化学会第64年会
    • 発表場所
      福岡
    • 年月日
      2015-09-10
    • 招待講演
  • [学会発表] Separation with Ice as Functional Material2015

    • 著者名/発表者名
      Tetsuo Okada
    • 学会等名
      The 8th Asia-Pacific Symposium on Ion Analysis
    • 発表場所
      千葉
    • 年月日
      2015-09-01
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] ize Tunable Channels Fabricated with Ice for Nano/Microseparation2015

    • 著者名/発表者名
      Arinori Inagawa, Tetsuo Okada
    • 学会等名
      HPLC2015
    • 発表場所
      ジュネーブ
    • 年月日
      2015-06-21
    • 国際学会

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公開日: 2017-01-06  

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