研究課題/領域番号 |
25248037
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
浅沼 浩之 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20282577)
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研究分担者 |
神谷 由紀子 名古屋大学, エコトピア科学研究所, 講師 (00527947)
樫田 啓 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30452189)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ペリレン / 蛍光プローブ / リニアプローブ / mRNA / DsRed / eGFP / アントラキノン / インベーダー |
研究実績の概要 |
26年度は、25年度に開発した超高感度リニアプローブの細胞内でのm-RNAのイメージングへの応用を目指した。前年度検討した中で最もS/B比の高かった、DNAの両末端近傍にクエンチャーのアントラキノンを導入したリニアプローブを試したところ、若干バックグラウンド蛍光が上昇したものの、HeLa細胞抽出液中でもS/B比は40と、細胞中でも十分な感度を維持できることが分かった。そこでこのアントラキノン導入リニアプローブを使用して、実際に細胞内のmRNAの蛍光モニタリングに使用した。ここではDsRedをコードしているmRNAに対応したリニアプローブを設計し、赤い蛍光を発するタンパク質(DsRed)をコードしているプラスミドをトランスフェクションした細胞に、そのリニアプローブを導入した。DsRedを導入していない細胞ではリニアプローブからのペリレンの青い蛍光はほとんど観察されなかったが、DsRedを発現している細胞ではペリレンの青い蛍光が観察された。一方eGFPをコードしているプラスミドをトランスフェクションした細胞にこのリニアプローブを導入しても、ペリレンの青い蛍光は観察されなかった。すなわちリニアプローブは、細胞内で配列特異的にmRNAを認識して発光することが明らかとなった。このように当初の目的の一つであった、リニアプローブによる細胞内mRNAイメージングを達成した。 ストランドインベーダーとして機能するリニアプローブには、二重鎖を不安定化しないエチニルペリレンとアントラキノンが有効であることを25年度に明らかにした。今年度は、PNAが存在しても十分に消光しているが、DNAと二重鎖形成すると強く発光するリニアプローブを設計した。その結果、アントラキノンおよびエチニルペリレンを天然のヌクレオチド2残基毎に導入し、アントラキノンとエチニルペリレンの間に天然のヌクレオチド3残基導入する設計で目的を達成できることが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
26年度は細胞内環境でも十分機能するリニアプローブを設計し、実際に細胞内でmRNAを配列特異的に蛍光標識することに成功した。このように最終年度を待たずに当初の計画の一つである細胞内でのmRNAの蛍光イメージングを実現した。
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今後の研究の推進方策 |
26年度で研究計画の一つに挙げたmRNAの細胞内イメージングを達成したので、27年度はリニアプローブとPNAとの組み合わせによるストランド・インベージョンに注力する。まずは合成DNA二重鎖によるモデル系で、26年度に設計したリニアプローブが機能することを確認し、さらにPCR産物へのインベージョンによる蛍光標識を実現する。
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