1.一重N-混乱及び、二重N-混乱ヘキサフィリン、ヘキサコロール配位子の効率的合成法の検討:従来、ヘキサフィリン合成はトリピラン同志の[3+3]環化縮合反応で合成していたが、収率が低い(<10%)という問題点があった。そこで、最近見出したPd(II)金属が誘起する混乱転移反応機構を詳細に検討した。シス体の二重混乱体のみが生成したことから、トランス体は従来の[3+3]環化縮合反応を用い、酸化反応の前のヘキサフィリノーゲンのf段階で一旦GPCカラムにより分離することで反応効率の向上を試みた。また、ヘキサコロールの合成に関しては前駆体ヘキサピランのモノアシル体から合成する[6+0]環化法に関しても、酸触媒や鋳型アニオンの種類などの反応条件を種々変えて反応を行い、10%の収率向上に成功した。 2.一重N-混乱及び、二重N-混乱ヘキサフィリン、ヘキサコロール二核金属錯体の合成検討:合成したヘキサフィリン配位子により剛直性を与えると期待されるPt(II)金属イオンの挿入を試みた。単離に成功したトランス体においては1800 nm付近に吸収があることが判明し、また、メゾアリール基の回転が比較的遅いことが、19FNMRのスペクトルの様子から明らかとなった。Pd体と比較し、400 nm以下の吸収がPd(II)よりも以上に大きいことが明らかとなった。発光スペクトルにおいては Pd(II)錯体において1200 nm付近に観測されたことから、高いエネルギー準位からの輻射の可能性が示唆された。
|