「π電子の海の中に複数の金属イオンを浮かべたら(あるいは沈めたら)、一体何が起こるのか?」 金属を2個、共役π空間に内包することができれば、従来の単核ポルフィリン金属錯体とは全く異なる、金属電子と配位子π電子が強く相互作用した多機能性複核錯体分子の誕生が期待される。分子内に2つの金属配位空孔を有する、長方形型を安定構造に持つN-混乱ヘキサフィリンを基体に、第3周期遷移金属や、第10族元素を含む複核錯体を合成し、それらの基本物性を明らかにすると共に、触媒反応開発を理論計算を交えながら行い、前掲の疑問に対する解明を図った。結果、1500 nm以上に発光を持つ、安定複核錯体の合成に成功した。
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