研究課題
有機半導体材料と無機材料とをナノメートル・スケールでハイブリッド化し、有機デバイスの発光性能の飛躍的な性能向上を目的として研究を進めた。未踏課題であった有機レーザーの開発によるブレークスルーの達成を図り、レーザートランジスタ(LT)の創出に主眼を置く。当年度は以下の成果を得た。①異なる周期をもつ回折格子に貼りつけた有機半導体結晶で観測された狭線化発光ピークの角度依存性の解析法を開発した。回折格子は集束イオンビーム (FIB) 装置の倍率やイオンビームの絞り径を調整して、基板上のアルミニウムをドープした酸化亜鉛 (AZO) 薄膜に構築し、有機半導体結晶は昇華再結晶法で成長した。有機結晶の厚さ、位相屈折率、回折格子の周期より、狭線化ピークの位置、回折次数、横モード次数を割り出すことを可能にした。②レーザーの干渉露光で基板上のフォトレジストに作製した1次元回折光子に貼った有機結晶でも同様に、狭線化ピーク位置、回折次数、横モード次数を割り出した。これを元に干渉露光条件を最適化し、有機結晶の蛍光最大波長と狭線化ピーク位置を厳密に合わせた素子を作製した。②FIBにより有機半導体結晶の表面に直接回折格子を掘削した。格子周期と実効屈折率の相関を調べ、1次の回折光を有機結晶から取り出すことに成功した。④回折格子を掘削したAZO上に貼り付けた有機結晶にウェットエッチング処理を施し、有機結晶がAZO層を完全に覆う素子を構築した。この結晶に正孔注入電極として金層を、電子注入電極として炭酸セシウムと銀の共蒸着層を配備した。素子に±33 Vの電圧を印加すると、炭酸セシウム/銀共蒸着電極付近から電流注入発光を観測した。⑤酸化ケイ素と酸化タンタルからなる誘電体多層膜に有機結晶を配備した微小共振器構造に電極を配備して、二極型の有機ELを作製し、電流注入による発光を観測した。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 1件、 査読あり 8件、 謝辞記載あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (19件) (うち国際学会 10件、 招待講演 3件)
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