研究分担者 |
川路 均 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 教授 (10214644)
田村 和久 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 量子ビーム応用研究センター, 研究副主幹 (10360405)
今西 誠之 三重大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20223331)
平山 雅章 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 准教授 (30531165)
鈴木 耕太 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 助教 (40708492)
園山 範之 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50272696)
米村 雅雄 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 特別准教授 (60400602)
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研究実績の概要 |
本研究は、次世代蓄電デバイス開発のための新たなサイエンスの創成に向けて、固体電極と固体電解質との界面反応の解析と制御を目的とする。最終年度である平成27年度は薄膜合成法による新材料の合成と、薄膜型全固体電池の合成と電気化学特性評価を行い、以下の成果を得た。 Li-(Mn,Co,Ni)-O系エピタキシャル薄膜の合成を行った。レーザーエネルギー密度(フルエンス)を制御することで、スピネル型、層状岩塩型相が共存するブレンド電極の創出に成功した。緻密な合成条件の最適化により、各相の存在比率を制御した。各相が共存する条件を用いて合成したブレンド電極は、両相の特徴を兼ね備えた電気化学特性を示すことを確認した。 薄膜型全固体電池を作製し、液系電池を超える出力特性を示すことを実証した。Li-Ti-O系負極のエピタキシャル薄膜、Li-P-O系固体電解質、Li金属を対極とした全固体電池は10Cレート(1/10時間で充電・放電が完了)においても理論容量の90%程度の容量を示し、さらに可逆性に優れることが明らかになった。 Li-Mn-O系エピタキシャル薄膜を正極とした薄膜型固体電池を作製し、充放電に伴う結晶構造変化を調べた。放射光X線を用いたその場観察で、高容量を発現する相への相転移メカニズムを調べた結果、固液界面とは異なるメカニズムと充放電プロセスを経て高容量相へ転移することが分かった。固固界面における電極反応機構は本質的に固液界面と異なり、固固界面において、よりサイクル特性に優れる電極構造が形成することを見出した。また、薄膜型の全固体電池を作製し、STEM内でのin situ 観察に向けた検討を行った。FIB加工により作製したナノセルは、正極/固体電解質および、負極/固体電解質界面においてボイドや、剥離のない固体固体界面が形成されており、その場観察が可能な品質の薄膜型電池が合成出来た。
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