研究課題
有機薄膜太陽電池に関し、その実用化の礎となる基礎科学の構築を行った。まず、固体核磁気共鳴(NMR)法を用い、バルクヘテロ接合型有機薄膜太陽電池の膜内構造と変換効率の相関を得た。この結果に基づき、さらに新規高分子PF6QTの膜内構造と変換効率の相関に関する知見を得、その特性向上を試みた。その結果、400-600 nmの短波長光吸収タイプの有機薄膜太陽電池としては極めて高い5.96%の光電変換効率を得ることに成功した。長波長光吸収タイプの有機薄膜太陽電池に関しては高特性のものが多く報告されている一方、短波長光吸収タイプの報告例はほとんどない。短波長光-長波長光吸収タイプのタンデム化による高効率有機薄膜太陽電池の実現を達成する上で、今回の結果の意義は大きい。また、通常の有機薄膜太陽電池の作製において、ハロゲン系有機溶媒を用いる必要があるが、このPF6QTは非ハロゲン系溶媒でも高特性(光電変換効率5.64%)を有する点も注目に値する。環境負荷の低い光電変換材料と言える。さらに、新規に合成した特殊な構造を有する高分子に対しても、膜内構造と変換効率の相関を得た。特に、環状高分子に関しては、膜内秩序化がより進んだ結果、従来の線状高分子よりも10倍高いホール移動度を示し、それを用いた有機薄膜太陽電池においても高い光電変換特性を得ることができた。以上の研究に関し、当初予定していた固体NMRを中心とした解析に加え、微小角入射広角X線散乱(GIWAXS)測定も行うことができた。有機薄膜太陽電池の実用化に関して重要な劣化解析に関しても研究を進めることができた。また、電荷輸送計算、有機ELにおいても大きな進展があったことから、その研究も進めることができた点、当初の予定以上の進展があった。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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