研究課題/領域番号 |
25249003
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研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
岡崎 正和 長岡技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00134974)
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研究分担者 |
山岸 郷志 長岡技術科学大学, 工学(系)研究科, 助教 (20452089)
阪口 基己 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (60452083)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 熱源温度変動誘起高サイクル熱疲労 / 低サイクル熱疲労 / 連成熱疲労破損 / ガスタービン燃焼再現試験装置 / 油圧サーボ疲労試験機 / 熱流体シミュレーション / 熱源温度変動誘起熱応力 / 遮熱コーティング試験片 |
研究実績の概要 |
ガスタービン高温構造体が直面する熱流体/構造/材料が連成した熱疲労破損現象として、超合金基材が関連する現象に加え、極く最近では、遮熱コーティングに関連した現象も顕在化しつつある。その一つがエンジン運転中の吸気や燃料に含まれる微量元素由来のTBCの損傷である.これらは,主として土壌成分が燃焼した際に生ずる無機質燃焼生成物(CaO,MgO,Al2O3,SiO2)(CMASと呼ばれている)に起因した環境強度的熱疲労破損である。26年度では、先進ガスタービンに用いられる遮熱コーティングシステム(TBCs)をターゲットにし,独自に設計・開発してきた「ガスタービン燃焼再現下負荷装置」を拡張し,CMASの生成プロセスを実験室レベルで再現してその素過程の材料学的側面を明らかにするとともに,CMAS損傷がTBCsの高温強度に与える熱的・構造的・材料的影響を実験・解析の両面から個別に抽出した。それにより、(1)TBC試験片に選択CMASモデル材を物理的に付着させて高温曝露を施すことにより,トップコート内部へのCMASの浸入という物理的な現象に加えて,CMAS中へのトップコート成分の溶出とそれによるトップコートの形態変化という化学的な反応の再現が可能であること、(2)CMAS損傷の物理的第一次要因はCMASの溶融によるものであること,および,材料学的側面からみてCMAS損傷はCMAS材とトップコート材の反応が関与していること、(3)CMAS損傷は,トップコート内部へのCMASの浸入,CMAS中へのトップコートの溶出,さらにはトップコートの形態変化と相変態を引き起こす.また力学的には,トップコート自身のじん性の低下,さらには層間密着性の低下を引き起こし,最終的に相変態誘起の内部応力の助長と熱応力の重畳作用によって、トップコートをはく離を促進させることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね順調に進行している。特に独自に設計・開発してきた「ガスタービン燃焼再現下負荷装置」を拡張して,CMAS損傷を実験室レベルで再現して、それが実機において問題視されている損傷に近いものでることができたことは、特に意義が大きいものと思われる。また、損傷の材料学的素過程に関する知見が得られたことは、今後、その防止策を検討する意味において重要なステップになったと確信する。さらに、近年の我が国のエネルギー事情から石炭由来やバイオマス資源由来の合成ガスを燃料とした多種燃料対応型のガスタービンエンジンにおいても類似の損傷が生じることが強く懸念されるため,本申請で得られる知見は今後の新規エネルギー産業の基盤技術にも大きな波及効果を持つ.
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画に基づいて、 【小課題1】遮熱コーティング部材の中でも特に冷却孔付近の熱疲労破損発生の機構解明 【小課題2】CMAS損傷素過程の詳細解明と解析トップコートのはく離・脱落におよぼすCMAS損傷の明確化と寿命予測法の検討 【小課題3】熱/構造/材料問題の連成シミュレーションを介し、CMAS損傷を伴う熱疲労破損の損傷を最小化する規準や見える化技術の開発 を行う。あわせて、得られた成果の公表を行う。
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