研究課題
平成26年度に得られた研究成果を以下に示す。(1) 青色発光ダイオードの作製に用いられる単結晶GaNの高品位研磨プロセスの開発に取り組んだ。大気圧プラズマ照射によってフッ化膜を表面に形成した後にレジンボンドの酸化セリウム砥石でドライ研磨することにより、原子オーダで平滑な表面をピットフリーに得ることに成功した。本成果は生産技術研究分野において最も権威のある論文誌にアクセプトされた。(Annals of CIRP, Vol. 64 (2015))また、通常の化学機械研磨(CMP)プロセスにおいても、CMP前にフッ化膜を形成することによりピットフリーな表面が得られることも見出した。本成果は、現状プロセスの改善に大きく貢献するものであり、現在投稿中である。(2) プラズマCVDにより合成した単結晶ダイヤモンド(100)基板をマイクロ波プラズマジェットの数値制御走査により平坦化すると深いエッチピッチが生じてしまう。エッチピットが形成された基板を低温に維持したまま酸素プラズマエッチングすると(111)面のエッチレートが(100)面のエッチングレートよりも大きいという異方性によりエッチピットが効率よく修復されることを見出した。本成果は、引き続き適用する研磨工程における研磨量を低減することに大きく寄与し、研磨時間の大幅な短縮が期待できる。(3) プラズマ発生用電極とレジンボンド砥石を交互に配置したハイブリッド型加工ヘッドを搭載したプラズマ援用研磨装置を試作した。本装置は3インチ径のウエの研磨が可能であり、平成27年度は本装置を用いて単結晶SiCおよび単結晶GaNウエハ研磨特性を取得するとともに、得られた特性をもとに試作装置の改良を行う。
1: 当初の計画以上に進展している
単結晶4H-SiC(0001)面の研磨において、表面の酸化速度と研磨速度のバランスを制御することでステップ/テラス構造の周期性を制御できることを世界で初めて報告し、本成果をまとめた論文はネイチャーグループのオンラインジャーナルであるScientific Reports誌に掲載された。また、GaNの研磨においては、あらかじめ表面にフッ化膜を形成することで通常のCMP研磨においてもエッチピットが生じない仕上げが可能であることを見出した。本結果は当初計画にはなかった発見であり、本研究の新たな方向性を示す重要な知見となった。
当初計画以上に進展しており、3年目以降も引き続き計画を前倒しして遂行できるよう研究開発を実行する。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 謝辞記載あり 5件) 学会発表 (19件) (うち招待講演 1件)
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