研究課題/領域番号 |
25249026
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
呉 景龍 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (30294648)
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研究分担者 |
阿部 康二 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (20212540)
高橋 智 岡山大学, 自然科学研究科, 准教授 (20236277)
金澤 右 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (20243511)
楊 家家 岡山大学, 自然科学研究科, 助教 (30601588)
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研究期間 (年度) |
2013-05-31 – 2017-03-31
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キーワード | 認知症 / アルツハイマー病 / 認知症早期診断 / 高次脳機能ネットワーク |
研究実績の概要 |
本研究では,ヒトの認知記憶の高次脳機能に注目し,高磁場環境で使用できる実験装置を独自に研究開発する.さらに,視覚,聴覚及び触覚の認知記憶脳機能解明の実験タスクを考案し,認知実験,脳波(EEG, ERP)と機能的磁気共鳴画像(fMRI)の統合的手法を用いて,認知記憶の高次脳機能ネットワークの解明と認知症の早期診断を目指している.本年度行ったことは,下記のとおりである 1)fMRI高磁場環境の実験装置と早期診断タスクの改良: 開発した高解像度・広視野の視覚刺激提示装置と,高時空間制御性能の触覚刺激提示装置の改良検討を行った.被験者の認知レベルに適した実験タスクの改良についても検討を行った. 2)認知・脳波・fMRI統合手法を用いた認知記憶脳機能結果の解析: 認知心理学実験を通じて認知記憶のマクロモデルを検討し,脳波とfMRIの計測結果に基づいてミクロモデルを提案した.具体的には,本研究で得られた認知実験の離散量,脳波の波形信号とfMRIの画像データについて,多変量解析・主成分分析・独立成分分析,ネットワーク解析などの手法を用いて,若年者と高齢者の脳機能ネットワークの差異を明らかにした. 3)臨床実験研究: 独自開発した触覚認知検査による認知症早期発見装置を用いて、海外で異なる認知症の患者に対する臨床実験研究を継続的に進行している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
認知症の社会問題を解決するためには,認知症の早期診断が必要である.今年度では,計画のとおり,ヒトの認知記憶の高次脳機能に注目して,独自に研究開発した高磁場環境で使用できる実験装置を改良し,視覚,聴覚及び触覚の認知記憶脳機能解明の実験タスクも再考案して,早期診断実現を向けた準備が順調に進行されている.認知実験,脳波 (EEG, ERP)と機能的磁気共鳴画像 (fMRI)計測の統合的手法を用いた認知記憶の高次脳機能ネットワ ークの解明に関する研究は,おおむね順調に推進していると思われる.具体的な計画と進展は下記のとおりである. 「fMRI高磁場環境の実験装置の研究開発と早期診断タスクの考案」として,具体的な進展は,製作した高解像度・広視野の視覚刺激提示装置と計測騒音の影響を受けない聴覚刺激提示装置及び高時空間制御性能の触覚刺激提示装置について実際に実験を行った結果に基づいて,改良した.また,fMRI内で実現可能で,被験者の認知レベルに合わせた実験タスクについても改良検討を行った. 「認知・脳波・ fMRI統合手法を用いた認知記憶脳機能実験の実施とデータ解析」として,進展状況は 認知心理学実験を通じて,認知記憶のマクロモデルの検討を行った.脳波とfMRIの計測結果に基づいてミクロモデルを検討できた.具体的には,認知実験の離散量,脳波の波形信号とfMRIの画像データについて,多変量解析・主成分分析・独立成分分析,ネットワーク解析などの手法を用いて,若年者と高齢者の脳機能ネットワークの差異を明らかにした.. さらに,臨床実験研究としては,独自開発した触覚認知検査による認知症早期発見装置を用いて,異なる認知症の患者に対する臨床実験研究を継続的に進行し,早期診断の有効性を実証している。
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今後の研究の推進方策 |
今後,「fMRI高磁場環境の実験装置と早期診断タスクの改良」の研究内容について,継続して実用化の現場状況に合わせて研究計画の追加,修正を行う.さらに,開発した触覚認知検査装置を用いて,高齢者と認知症患者を対象とした臨床実験を,日本だけでなく海外でも実施し,「認知症早期診断の臨床実験と認知モデルの検証」を進行する.「実験装置と解析ソフトの臨床実用化」と「認知症の早期臨床診断システムの創造」の研究課題については,関連文献調査などの研究も推進する.独自開発した触覚認知検査による認知症早期発見装置を用いて、海外で臨床実験研究をさらに推進して、異なる型の認知症に関する早期発見も目指している。
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