平成27年度は、①検査装置への検出機構(熱レンズ効果を検出するための簡易光学系)の実装、②試薬・駆動液滴下機構の実装、③検出機構及び試薬・駆動液滴下機構を備えた検出装置を試作し、実用化に対してボトルネックとなる課題の摘出と改良策の提案を行った。具体的には①熱レンズ型吸光度測定法のためのファイバプローブ先端とペーパー検査チップに形成されたフローセルの間隔を測定毎に高精度に位置決め可能とするためにプローブを一定圧力で紙面に押圧するための機構を開発し、相対位置誤差が0.1mm以下であることを確認した。また②試薬・駆動液滴下機構に関しては、入口側に穿孔針、出口側に吐出ノズルを備えた超小型蠕動型ポンプを4列並行に備えた機構を試作、前記ノズル部に直接差し込んで漏れなく着脱可能な液体インターフェースを備えた試薬カートリッジを試作し、ペーパー検査チップの任意の位置に所定量(~10μL/shot)の液の高精度吐出(~0.1μL/パルス)が可能であることを確認した。次に③これらの機構と、ペーパー検査チップを搭載して、各機構間を自動で搬送するためのステージ、及び各機構を連動動作させるための制御部を備えた検出装置及び専用動作制御ソフトを開発し、一連の連動動作が可能であることを確認した。一方、チップの位置決めに利用したチップ外縁は、切り出し時に0.1~0.2 mm程度の寸法誤差が発生すること、更に動作検証中に、ペーパー検査チップを構成する紙が湿気や装置からの熱等の影響で徐々に反りが発生し平面方向に~0.2 mm程度の位置ズレが発生する課題が顕在化した。そこで流路をエンボス加工する際に同時に、チップ内の2点にピン孔を形成させるプレス型を新たに試作、さらに測定時にチップ全体を真空吸引する機構を新たに設けた。これらにより寸法誤差、反りが是正され位置決め精度として0.1㎜以下を確保可能となった。
|