研究課題/領域番号 |
25249029
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
赤木 泰文 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (80126466)
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研究分担者 |
萩原 誠 東京工業大学, 理工学研究科, 助教 (20436710)
藤田 英明 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (40238580)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 交流電動機 / インバータ / パワー半導体デバイス / 可変速駆動 / ディジタル信号処理 |
研究実績の概要 |
モジュラー・マルチレベル・カスケード変換器(Modular Multilevel Cascade Converter: MMCC)をインバータに使用した交流モータ駆動システムの設計・製作を行い、実験システムを構築した。これは、大学の研究室で実験可能な最大容量の三相400V, 20kVA であり、このインバータを用いて相380V, 15kW, 4極かご型誘導電動機の可変速運転を行った。実験システムでは、かご型誘導電動機に三相190V, 15kW, 4極かご型誘導発電機をカップリングし、さらにPWM整流器と系統連系インバータを接続して、かご型誘導電動機の負荷エネルギーを電源系統に回生している点に特長がある。さらに、かご型誘導発電機にベクトル制御を適用し、瞬時負荷トルクを調整できるので、ファン・ブロアやコンプレッッサなどの速度-トルク特性を任意に模擬できる。 平成26年度の下半期では、このような実験システムを用いて、可変速駆動システムとしての基本特性を評価した。特に、研究対象のモジュラー・マルチレベル・カスケード変換器は、低速時に定格トルクを発生させようとすると直流コンデンサ電圧の変動が顕著となり、その対策として新しい制御法を考案した。 これらの実験結果をまとめた論文(2編、各2ページ)を、平成27年3月開催の電気学会全国大会で発表論文した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、モジュラー・マルチレベル・カスケード変換器(Modular Multilevel Cascade Converter: MMCC)をインバータに使用した交流モータの可変速駆動システムの設計・製作を行い、実験システムを構築することができた。これは、パワー半導体デバイス(具体的にはパワーMOSFET)を384(=96×4)個使用し、これらを制御するための最新のディジタル信号処理技術を駆使した世界最先端の実験システムである。 この実験システムを使用して、かご型誘導電動機(三相380V, 15kW, 50Hz, 4極)と永久磁石同期発電機(360V, 15kW, 75Hz, 6極)の可変速運転を行った。負荷としてはファン・ブロアの速度-トルク特性を模擬した。その結果、良好な運転を実証することができたので、研究は、「おおむね順調に進展している」と自己評価を行った。
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今後の研究の推進方策 |
上記の「現在までの達成度」において記述したように、研究は「おおむね順調に進展している」と自己評価している。しかし、平成26年度までに使用していたモジュラー・マルチレベル・カスケード変換器では、発電制動を実現できない。産業界からは発電制動を必要とする可変速駆動システムの要求もある。 そこで、平成27年度は、平成26年度までに製作したモジュラー・マルチレベル・カスケード変換器を、発電制動が可能な電力変換器に改造する。これは従来の集中型発電制動に対して分散型発電制動に特長がある。このような制御アルゴリズムを確立し、シムレーションによって動作原理を確認し、さらに実験検証を行う予定である。
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