研究課題/領域番号 |
25249030
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
道木 慎二 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10273260)
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研究期間 (年度) |
2013-05-31 – 2016-03-31
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キーワード | 電気機器工学 / 制御工学 / 電気自動車 / 省エネルギー / 環境技術 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、従来の三相交流モータとは一線を画し、非正弦波、非線形などを前提として、革新的なモータ・インバータ・制御から成るモータドライブシステムの基盤技術を構築することである。 本研究では、ハイブリッド電気自動車、電気自動車などの主機モータに求められる特性、ニーズについて検討した。その結果、登坂運転における低速回転での高トルク駆動が最も過酷な駆動モードであり、この駆動モードにおける特性を改善することにより、モータドライブシステムの高効率化、小型化、低コスト化が可能になることを認識した。これはガソリン車のトランスミッションが担っている機能を主機モータが担うことであり、低速大トルク駆動と高速駆動転との両立を図る必要があることを意味する。 そこで、本研究では、従来モータの低速大トルク駆動時の力率低下・効率低下の問題と高速駆動時における弱め界磁運転での力率低下・効率低下の問題を解決する新たなモータドライブシステムについて研究した。ここで提案する新たなモータは一種の界磁巻線型モータであり、モータの一次側から非接触でロータへ界磁巻線を供給する構造を持ち、非正弦波で矩形波の電圧、電流で駆動する。 これにより、信頼性・耐久性を落とすことなく、モータの小型化を実現し、また、低速大トルク駆動と高速駆動の両立を目指している。現在までに、原理検証用のモータの検討、設計、FEM解析、およびその試作を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度の研究実施計画は、①自動車の主機用モータについての問題点およびニーズの把握、および、最新モータ技術の調査、②新しいモータドライブシステムの企画・提案であった。 本研究では、前期①の調査を実施し、電気自動車用主機用モータの問題点、ニーズの調査・確認を行うことで、研究方針の確認を行った。その中で、可変界磁の実現が有力であるものの、従来検討されてきた可変界磁技術には、様々な問題があり、新しいアプローチが必要であることを確認した。それを踏まえ、②の企画を行い、主機用モータの高効率化・小型化・低コスト化のみならず、その駆動インバータの小型化を可能とする新しいモータドライブシステムのコア技術として、ロータに界磁巻線を設けることで可変界磁とするとともに、駆動電流と独立してロータの界磁巻線への非接触給電を可能とする新しいロータとそれに対応する固定子巻線を持つステータからなる新しいモータを提案することができた。また、その駆動用インバータ・制御系についても、原理的な構成の検討を行い、実現の見通しを得ることができた。 そして、以上の検討に基づき、実際に原理検証用の試作モータを設計・製作した。
以上の点から、概ね、当初の予定を実施できたと考える。
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今後の研究の推進方策 |
製作した原理検証用モータに対して、以下の点の評価を行う。 ①ステータ側からロータ側界磁巻線へ界磁電流を通電する電力を非接触で効率よく給電可能かどうか②実際にロータの界磁が可能かどうか③三相電流によるトルク発生④駆動トルクを発生する三相電流成分と界磁電流成分との非干渉性 これに先立ち、 ①試作モータの制御用ソフトウエアの開発②試作モータ駆動用駆動用インバータ③負荷用モータとそのインバータ・制御装置などを設計製作④これらから成るモータ評価用実験装置の構築を行う。 実験結果の成果を整理・評価することで、現段階での問題・課題を整理したうえで、モータの二次試作につなげる。
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備考 |
名古屋大学大学院工学研究科電子情報システム専攻道木研ホームページ http://www.nuee.nagoya-u.ac.jp/labs/doki
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