本研究では、電気自動車の主機モータなどで競争力を発揮するモータ技術、即ち、自動車用途で求められるモータ、インバータ、および、その制御技術のついて研究した。具体的には、ロータに界磁巻線を持ち、非接触で任意に制御可能な界磁電流を供給する技術である。既存の三相巻線を流用し、三相電流によるモータ制御と前記界磁電流制御とを非干渉性も保っている。そして、この界磁巻線技術を活用することにより、登坂運転で使用する低速回転での大トルクを力率90%以上で実現し、高速道路等の高速走行で使用する高速回転での弱め界磁制御・定出力制御を力率90%以上で、電圧が過大とならない技術を確立した。 前記のロータ界磁巻線への非接触給電技術、界磁電流を任意に制御する技術については、ロータの界磁電流を測定するためにスリップリングを付加したモータを試作し、界磁電流を実測することにより界磁電流を計測した。そして、界磁電流の良好な応答性、精度を確認した。 同様に、界磁電流制御とモータの三相電流制御との非干渉性についても、界磁電流と三相電流を同時に計測することにより、良好な非干渉特性を確認した。 ロータ界磁巻線を活用した本研究モータで、「低速回転での大トルクを力率90%以上で実現する技術」。「高速回転での弱め界磁制御・定出力制御を力率90%以上で、電圧が過大とならない技術」については、有限要素法解析FEAにより多くの条件を検証し、良好な特性を得た。
|