研究課題/領域番号 |
25249036
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
鹿田 真一 独立行政法人産業技術総合研究所, ユビキタスエネルギー研究部門, 総括研究主幹 (00415689)
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研究分担者 |
峠 睦 熊本大学, 学内共同利用施設等, 教授 (00107731)
茶谷原 昭義 独立行政法人産業技術総合研究所, ユビキタスエネルギー研究部門, 上級主任研究員 (10357501)
杢野 由明 独立行政法人産業技術総合研究所, ユビキタスエネルギー研究部門, 上級主任研究員 (60358166)
梅沢 仁 独立行政法人産業技術総合研究所, ユビキタスエネルギー研究部門, 主任研究員 (80329135)
加藤 有香子 独立行政法人産業技術総合研究所, ユビキタスエネルギー研究部門, 主任研究員 (90509837)
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研究期間 (年度) |
2013-05-31 – 2016-03-31
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キーワード | ダイヤモンド / パワーデバイス / 省エネルギー |
研究実績の概要 |
CO2削減の切り札である省エネパワーデバイスの究極材料としてダイヤウェハ結晶欠陥低減に①結晶評価手法確立 ②低欠陥種結晶 ③低欠陥のための研磨 ④低欠陥成長の4項目に取り組んでいる。26年度は①に関してX線トポ、ラマン分光など等これまでに確立した各種手法を用いて②~④に関する試料の結晶性評価を行った。また欠陥定量評価において通常半導体で用いるウェット処理によるエッチピット評価に代わり、O2/H2によるドライエッチの検討を行い、貫通転移欠陥とよく合致することを見出した。②に関して①③と併せて得られた種結晶の表面状態をよくすることも含めて行い、欠陥数として105cm-2以上あった種結晶欠陥を、概ね2,000cm-2以下の結晶が得られるようになった。③に関して石英棒や小径石英板をウェハ上で高速ラスタースキャンさせるUVアシスト高速局部研磨技術につき、多くの研磨条件のもとで、到達仕上げ面粗さ及び平面度、研磨後のウェハの反り、モザイクウェハ接合面の段差などについて詳細に調べた。その結果20mm角のダイヤウェハを0.2nmRaレベルの優れた粗さで全面研磨に成功した。研磨は69hrと長時間を要したが、UVアシスト研磨による新たな転位の導入は認められないことをX線トポ像から確認できた。メカニズムの解明も実施した。④に関して平滑かつ無損傷表面を形成することを目指したドライエッチング③の結果に伴う表面荒れの抑制やファイン研磨の適応などの検討を行い、平行してコピー技術により低欠陥種基板の子基板を試作し、結晶性や歪を評価した。その結果CVDによる子基板でも、2.4mm角の限定領域ではあるが欠陥数400cm-2という驚異的な低欠陥を実現できた。但該当部分の種結晶は100cm-2の欠陥数であり、CVDにより新たに300cm-2欠陥が発生していることもわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
①結晶評価手法確立 に関して、前年度まで確立してきた評価手法の効率化検討中であるが、予定になかったものとして通常の半導体で用いるウェット処理によるエッチピット評価に代わり、O2/H2によるドライエッチングの適応検討を行い、貫通転移欠陥とよく合致することを見出した。 ②低欠陥種結晶に関して、住友電気工業㈱との外部連携により、欠陥数として105cm-2以上あった種結晶欠陥を、概ね2,000cm-2以下の結晶が得られるようになり、③低欠陥のための研磨に関して、開発してきたUVアシスト研磨法はきわめて有効であることが確認できた。すなわち研磨機構の考察から、窒素雰囲気では研磨レートは高いものの到達粗さは悪く、逆に酸素雰囲気では0.1nmRaレベルの鏡面が得られるが、研磨レートは低いことがわかった。順調に想定レベルの結論が得られつつある。 ④低欠陥成長に関して、ダイレクトウェハ化を用いたCVDによる子基板で、欠陥数400cm-2という驚異的な低欠陥を実現できた。2.4mm角の限定領域ではあるが、これに関しては、想定以上の成果となっている。
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今後の研究の推進方策 |
①結晶評価手法確立:その他カソードルミネッセンスも含め、解析手法と欠陥種の関連について定量化し、ダイオードの試作を行い、欠陥リーク電流・絶縁破壊電界等との関連性を調査し、デバイスに影響あり提言対象となる欠陥、および存在してもデバイスへの影響がない/少ない欠陥に分類し、結晶成長で提言に取り組むべき対象を明らかにする。特に、デバイスに大きな影響をもたらす結晶の縦方向に貫通する転移や欠陥の束などの同定・解析による定量的評価を行えるようにする。 ②低欠陥種結晶:欠陥の定量化をベースに、HPHT結晶成長条件にフィードバックし、さらに低欠陥研磨などにより、表面の欠陥密度が1000cm-2を下回る結晶で、かつ6mm角以上の種結晶成長を行う。 ③低欠陥のための研磨:原子スケール無歪超平滑平坦面の獲得をめざし、研磨時間を大幅に短縮できる研磨条件を明らかにする。そこでの到達仕上げ面粗さ、平面度、断面TEMによる極表面下の結晶の乱れを定量化し、エピ成長に及ぼす効果を明確にする。基板損傷についてはドライエッチングの導入により、深さとダメージの関連を探り、研磨と合わせて成長前処理を完成させる。 ④低欠陥成長:①③処理による良好な②の種結晶を用い、最終的に種基板からの欠陥増加量と104cm-2以下に抑制することを目指す。
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