研究課題/領域番号 |
25249042
|
研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
前澤 宏一 富山大学, 理工学研究部(工学), 教授 (90301217)
|
研究分担者 |
石井 仁 豊橋技術科学大学, その他部局等, その他 (20506175)
安藤 浩哉 豊田工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (30212674)
|
研究期間 (年度) |
2013-05-31 – 2017-03-31
|
キーワード | 共鳴トンネル / テラヘルツ / MEMS / サンプリング / 異種材料集積 / InP / パルス / 発振器 |
研究実績の概要 |
本研究は、THz 動作が可能な電子デバイスである共鳴トンネル素子(RTD) とMEMS、これらを統合する異種材料デバイス集積技術を基盤として、全電子式のTHzサンプリング、THz信号生成、さらにはTHz波形直接合成(THz-DDS,THz Direct Digital Synthesizer) 技術をオンチップで実現しようとするものである。THz 波は様々な分野で興味を集めているが、その多くは光学的な発生/検出手段によっており、大がかりな実験装置を要する。これをRTD やMEMSを用いて実現すれば、オンチップのTHz システムとなり、その応用範囲は格段に広がる。 本年度は、上記実現のための要素部品とその作製プロセスについて検討を進めるとともに、サンプリング回路の試作を試みた。具体的な成果は以下のとおりである。 中心課題の一つであるRTDパルス生成器とRTD検波器を用いたサンプリング回路に関し、検討を進めた。昨年までの結果を基に回路設計を進め、その後、電磁界解析を用いた回路パターンの設計を行った。第一回目の試作では、プロセス上の問題が生じ、回路動作は得られなかったが、今後、再度試作を行う予定である。一方、超再生検波方式によるTHz信号検出についても検討を進めた。より感度良く、信号を検出するため、HEMTによる出力アンプを搭載することとした。ここでは、内部発振周波数が、検出すべき信号の周波数よりかなり小さく出来ることを利用して、プリント基板上のHEMTアンプと、InP基板上RTD回路のハイブリッド構成を採用し、設計・試作した。その結果、入力周波数50GHzでの動作を確認した。今後、100GHz信号での実験を行う予定である。なお、この検討において、RTDにおいて大きな問題であった、入出力分離を周波数領域を用いて容易に行う方法を提案した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
最終目標の一つである、サンプリング回路の設計が終了し、試作段階に入っている。また、新たに提案した周波数の大きく異る超再生検波方式の動作を実証した。さらに、これらの検討を通して、RTDにおける大きな問題であった入出力分離を解決するための方法を見出した。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでの検討結果を総合し、THzサンプリング回路、超再生方式THz波検出回路を試作し、動作原理の実証を行う。さらに、アンテナとの集積化など、我々の持つ、異種材料集積技術を応用した、新しいデバイスを提案していく。
|