研究課題/領域番号 |
25249047
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
石田 誠 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30126924)
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研究分担者 |
河野 剛士 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70452216)
秋田 一平 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10612385)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 電子デバイス / 電子機器 / 集積回路 / センサ / MEMS |
研究概要 |
神経電位を長期間計測するための基盤技術として、プローブデバイス及び無線通信デバイスの開発を行い、次に示す項目について、それぞれ有効性の実証確認を行った。 (1)プローブサイズと生体反応との関係を明確化し、本提案の微小プローブの優位性を確認。 (2)プローブデバイスと信号処理回路のモノリシック化のためのプロセス開発、製作を行い回路の動作を確認。 (3)RF-MEMSによるアンテナデバイス及び送信回路の開発を行い、埋込み可能な小型無線通信システムの基盤技術を確立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
提案するシリコンマイクロプローブによる長期測定を可能とするために、生体反応のプローブサイズ依存性を検討した。実際のラット大脳皮質への埋込み評価により、提案する直径数ミクロンのプローブが既存の電極と比較して生体反応が少ないことを確認した。 VLS 結晶成長シリコンプローブと(100)-CMOS を同一基板上で集積化するSOI基板を用いた集積化プロセスを検討した。MOFETプロセスに高融点材料配線(WSi/TiN/Ti)、回路回復処理(水素雰囲気、460 度~)を検討することでプローブと集積回路の一体化を実現した。加えて、製作したデバイスの生理溶液中での評価により、混載増幅器(ソースフォロワ)による生体信号を模擬したテスト信号計測を確認した。 RFシステム全体における低消費電力化RF-MEMSスイッチによる低損失送受切り替えスイッチの検討を行ったところ、制御部における高電圧駆動が必要であること、主にRFアンテナ及び送信回路の消費電力の寄与が支配的であったこと等を勘案して、MEMS技術を用いたアンテナ構造の提案及び試作実証と低電力送信機との接続検証を行い、RFシステムの小型化を実現しその有効性を確認した。
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今後の研究の推進方策 |
低浸襲プローブを引き続き検討する。併せて、生体適合性を考慮した材料使用の検討を引き続き行う。加えて、本年度は長期的な安定測定の可能性を埋込み評価により検討する。また、引き続きプローブ・CMOS一体化プロセスの開発を進めると共に、同一プロセス上に混載するMOS増幅器(ソース接地、ソースフォロワによる多段回路)の最適設計、製作を行い、実験を通じて有効性を確認する。 低電力無線通信やバッテリーフリー化を実現するための、RF-MEMS、無線通信回路、高効率電源回路等の要素技術開発を行う。RF-MEMSデバイスとして、生体適合性の高い材料を用いたフレキシブルアンテナを検討する。本アンテナは生体の形に従ってアンテナ形状が変化するため、これによる電気的特性シフトを把握するための網羅 的なシミュレーション解析を行うことで、最適なアンテナパターンを決定していく。一方、無線通信回路や高効率電源回路等の要素技術の設計開発引き続き行い、最終的な1チップシステム(信号処理回路チップ)実現を目指す。 脳内長期計測の実現に向けて、埋込みデバイスの小型化を実現するために、信号処理回路チップとRF-MEMSデバイス(上記フレキシブルアンテナなど)の電気的接続を行うための融合プロセスを確立する。留意すべき点として 、信号処理回路チップのボンディングパッドなどが直接生体組織へ接触し、生体へ不用な電流が流れることを阻止するための対策が必要である。フレキシブルアンテナのプロセス途中に信号処理回路チップを挟み込み、電気的接触を行った後にパリレン樹脂でチップを覆うプロセスを行うことで上記のような問題を回避する予定である 。
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