研究課題
平成27年度は、狭帯域テラヘルツ発生を念頭に置いた、導波路型テラヘルツ波時間領域分光システムを構築し、グラフェンなどの超薄膜およびメタマテリアルの評価を行った。また、テラヘルツ放射イメージングシステムに、メタマテリアル利用することにより、特定の周波数で高感度な計測が可能となり、特に液体の分析に非常に有効であることを示した。以下に詳細を述べる。通常のテラヘルツ分光では、薄膜に対してテラヘルツ波は垂直に入射し、その透過もしくは反射波形を計測する。この場合は、試料の厚さがナノレベルに薄い場合は、テラヘルツ波の反射・吸収が極端に小さくなり、十分な精度で計測することが出来ない。これに対して、我々は平行平板導波路に平行に試料を挿入することにより、試料と平行にテラヘルツ波を伝搬させた。これにより、試料とテラヘルツ波の相互作用長を十分大きくすることが可能となり、超薄膜の計測が可能となった。さらに、導波路を伝搬するTEモードとTMモードを利用して、メタマテリアルの電場と磁場応答を分離して計測することに成功した。また、メタマテリアルによる電場増強を利用して、微量水溶液分析を行った。このシステムは、テラヘルツエミッターであるGaAs(110)基板表面から発生する局在テラヘルツ波を1つのメタアトムに照射するという従来に無い方法を用いて微量液体の計測を可能とした。その結果、市販のミネラルウォーターに溶けているフェムトモルオーダーの金属イオン数の差異を識別可能であることを示した。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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