研究課題/領域番号 |
25249050
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
吉川 公麿 広島大学, ナノデバイス・バイオ融合科学研究所, 教授 (60304458)
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研究分担者 |
有廣 光司 広島大学, 大学病院, 教授 (70232064)
黒木 伸一郎 広島大学, ナノデバイス・バイオ融合科学研究所, 准教授 (70400281)
小出 哲士 広島大学, ナノデバイス・バイオ融合科学研究所, 准教授 (30243596)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 乳腺腫瘍 / 浸潤癌 / 非浸潤癌 / IDC / DCIS / 血管新生 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は悪性腫瘍の転移及び浸潤の過程に生じる血管新生の密度分布を計測する技術を開発することである。開発技術目標は、1.血管新生の密度分布を、電磁波伝搬理論に基づき、計測する。2.血管新生部位の複素インピーダンスと周囲の組織や良性腫瘍組織との差を計測する。3.血管新生密度の高い部位の位置を送受信波形の解析によって特定する。4.腫瘍血管新生密度分布計測システム用UWB-CMOS回路を開発する。であり、当該年度の研究成果は以下の通りである。 1.血管新生の密度分布を広島大学病院腫瘍外科(岡田教授)において手術で摘出した乳がん組織の一部を病理診断科(有廣教授)において病理サンプルとして薄片化し、CD31およびFACTOR-VIIIで染色し、顕微鏡下で観察、写真撮影し、血管分布を計測した。計測にはコンピュータによる画像認識技術を用いて定量化した。同時に、このサンプルはベクトルネットワークアナライザによって超広帯域UWB(1-20GHz)で複素誘電率を測定し、顕微鏡下観察データとの相関を調べた。現時点では、複素誘電率と血管新生密度の良い相関はえられていないので、今後サンプルを増やして検討を継続する。2.血管新生密度の不均一性による密度が高い部位の範囲が直径2mm以下であることが明らかになった。この結果、周囲の良性組織との差を明らかにするには、さらに小さいプローブの開発が必要となった。3.血管新生密度の高い部位と考えられる誘電率の高い部位の位置をインパルスの反射に要する時間から計算して特定する技術を開発し、ファントムを用いて実験的に検討した。その結果、送受信アンテナを移動させることで解像度が向上することを明らかにした。4.血管新生密度分布計測用CMOS回路を開発し、レーダーシステムに実装し、プロトタイプを製作した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度の成果は当初計画に対して、以下の成果が得られた。1.血管新生の密度分布をCD31およびFACTOR-VIIIで染色し、顕微鏡下で観察、写真撮影し、コンピュータによる画像認識技術を用いて定量化した。3.血管新生密度の高い部位と考えられる誘電率の高い部位をインパルスの反射に要する時間から位置を特定する技術を開発し、ファントムを用いて実験的に検討した。その結果、送受信アンテナを移動させることで解像度が向上することを明らかにした。4.血管新生密度分布計測用CMOS回路を開発し、レーダーシステムに実装し、プロトタイプを製作した。このことから、概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画であるシステム技術開発は順調に進んでおり、血管新生密度の病理学的分布計測は広島大学病院の協力を得て、さらにサンプル数を増やして、統計的に確からしい相関を得られるよう検討する。
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