研究課題/領域番号 |
25249055
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
廣川 二郎 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (00228826)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | アンテナ / ミリ波 |
研究概要 |
(a)平衡給電構造の検討:CMOS回路の差動動作に適した平衡給電構造の検討として,平行二線を用いた給電構造について検討した。まず,ダイポールアンテナを検討したが,整合を得るためには平行二線の間隔が広がり,素子が大きくなってしまうことが分かった。そこで,板状ループアンテナを検討し,一辺1.3mmの大きさで整合ができることが分かった。 (b)シリコンCMOSチップへの適用:レーザ等を用いて回路の破損等が起きないようにシリコンCMOSチップに穴を開ける手法を検討したが,現時点ではよい方法が見つかっていない。 (c)2x2素子アレー構造の検討:シリコンチップに2x2素子円偏波パッチアレーアンテナを設け,和パターン(上方向で強め合う)あるいは差パターン(上方向で打ち消しあう)を実現するように異なる給電を行うことを検討した。このような給電を60GHz帯直交局部発振回路チップ(1mm四方)と組合せて行った。上面のパッチアレーアンテナに同軸給電構造を介して下面から給電する際に,下面の給電線路の長さを調整して位相差を付けた。和パターンに関してはほぼ上方向で強め合うパターンが得られたが,差パターンに関しては上方向で打ち消しあうパターンが得られなかった。 (d)光ファイバを用いた指向性測定:テストアンテナに光検出器(PD)を取り付け,ミリ波で変調された光をファイバで送ることにより,テストアンテナからミリ波を放射させた。60GHz帯において測定システムを構築し1素子パッチアンテナの指向性を測定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(a)平衡給電構造の検討に関しては,整合が取れ,大きさが一辺1.3mmで小型に実現できる形状が得られ,ほぼH25年度の目的を達成した。 (b)シリコンCMOSチップへの適用に関しては,レーザ等を用いて回路の破損等が起きないようにシリコンCMOSチップに穴を開ける手法が現時点では見つかっておらず,H25年度の目的は達成していない。 (c)2x2素子アレー構造の検討に関しては,60GHz帯直交局部発振回路チップ(1mm四方)と接続に成功し,ほぼH25年度の目的を達成した。 (d)光ファイバを用いた指向性測定に関しては,60GHz帯でのシステム構築に成功し,H25年度の目的を達成した。
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今後の研究の推進方策 |
(a)平衡給電構造の検討:平行二線給電構造を組み込んだシリコンチップ厚膜絶縁体上板状ループアンテナを試作する。また,測定のための治具も合わせて設計する。下半期には,上半期に設計した治具を用いて,シリコンチップアンテナ単体の特性も測定する。 (b)シリコンCMOSチップへの適用:H25年度に引き続き,レーザ等を用いて回路の破損等が起きないようにシリコンCMOSチップに穴を開ける手法を検討する。うまくいかない場合には代替の方法も検討する。 (c)2x2素子アレー構造の検討:H25年度に設計・試作した2x2素子アレーの特性評価を詳細に行う。必要があれば,給電線路ならびに発振回路チップとの接続回路の再設計を行う。また,2x4素子アレーなど素子数の増加についても検討する。 (d)光ファイバを用いた指向性測定:H25年度に構築した1つの光入力用の測定システムを用いて,下半期にa)の平衡給電シリコンチップアンテナの指向性を測定する。また,複数素子アレーに適用するため,位相差がついた複数の光入力用の測定システムの構築を検討する。
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