(a)平衡給電構造の検討…平成26年度に試作した平行二線給電構造のシリコンチップ厚膜絶縁体上板状アンテナの特性評価を精密に行った。60GHz帯において200umの厚い誘電体層を用いることで,約80%の高い放射効率を実験で確認した。 (b)シリコンCMOSチップへの適用…4x3mm四方の60GHz帯注入同期型直交発振器チップに直接,アンテナを設ける構造として,セミリジット同軸ケーブルを用いてモノポールアンテナを検討した。スケールアップした9GHzでアンテナの基本動作を確認したのち,60GHzでも所望の特性を得ることができた。 (c)2x2素子アレー構造の検討…平成26年度に検討した,20GHz帯位相同期ループを組み込んだ60GHz帯注入同期型直交発振器チップと1点給電パッチアンテナを有するシリコンチップを接続した構造の製作に成功した。従来の自己発振の場合と比較し,20GHz帯位相同期ループの組み込みにより,安定動作を確認できた。 (d)光ファイバを用いた指向性測定…平成26年度に基礎検討を行った60GHz帯光検出器一体パッチアンテナ8素子アレーを製作した。光の波長を変えてアレー素子ごとにRF信号の位相を変えることで,ビーム方向を変えることができた。位相変化量とビーム方向の関係に関して,理論値と測定値で良好な一致が得られた。また,8素子アレーの配置と間隔を変えたときのビーム制御特性の測定を行い,実験値はアレーファクタの計算による理論値とよく一致した。
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