液状化浸潤／塩分浸透停滞現象の実態把握と機構解明およびその耐久設計への実装

2015 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 25249060
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 岸 利治 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (90251339)
• 研究分担者: 武若 耕司 鹿児島大学, 理工学域工学系, 教授 (10155054) ; 山路 徹 国立研究開発法人海上技術安全研究所, 構造研究領域, 領域長 (10371767) ; 岡崎 慎一郎 香川大学, 工学部, 准教授 (30510507) ; 酒井 雄也 東京大学, 生産技術研究所, 助教 (40624531) ; 山口 明伸 鹿児島大学, 理工学域工学系, 教授 (50305158) ; 杉山 隆文 北海道大学, 工学研究院, 教授 (70261865) ; 山田 義智 琉球大学, 工学部, 教授 (80220416)
• 研究期間 (年度): 2013-04-01 – 2016-03-31
• キーワード: コンクリート / 塩害 / 塩化物イオン / 停滞 / 移流 / 拡散 / 耐久設計

研究実績の概要

コンクリート内部の含水状態と空隙構造を意図的に変化させたコンクリート供試体を対象に、室内塩水浸せき試験、塩分分析、空隙構造分析、水分保有率測定を実施し、含水状態と空隙構造が塩分浸透挙動に与える影響について包括的に検討した。空隙構造が緻密で含水状態が高い混和材を用いた供試体では、浅部において早期に浸透が停滞するが、乾燥を施した供試体でも塩分浸透が深部で停滞することや、乾燥後に水分を再供給した供試体では塩分浸透抵抗性が低下することを確認した。
続いて、硬化セメントペーストを対象に溶存空気量が異なる浸せき水を用いて塩水浸せき試験を実施し、脱気水と水道水では7日目以降の吸水量に明確な差異が認められることを明らかにした。さらに、粘弾性測定装置を用いて脱気水と水道水のレオロジー特性は変化しないことを確認した上で、レオロジー測定の結果から、微小空間中の液状水は一般に考えられているニュートン流体ではなく、降伏値を有するビンガム流体的な挙動を示すことも移流の停滞現象に大きく関与している可能性を指摘した。そして、本研究において実施した実験的検討と既往の知見を踏まえて塩分浸透停滞現象の支配機構について論じ、結論として、移流の停滞については、気泡による抑制と液状水のビンガム流体的な挙動により停滞する可能性が高いこと、また、拡散については、既往の知見に基づいて、直径10nm程度の微小空隙中においては空隙壁面との電気的相互作用により塩化物イオンの浸透が大きく抑制されて停滞する可能性が高いことを指摘した。
最後に、塩分浸透停滞現象を表現可能な塩分浸透簡易算定手法についての検討を行い、移流と拡散双方の停滞現象を考慮可能な算定手法の枠組みを構築した。そして、既往の文献で報告されている分析結果を対象に再現解析を実施し、構築した簡易算定手法は塩分浸透の停滞現象を良好に表現できる枠組みであることを示した。

現在までの達成度 (段落)

27年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

27年度が最終年度であるため、記入しない。

研究成果

• [雑誌論文] Water Flow Reduction and Air Bubble Generation Mechanisms in Narrow Interfaces Such as Concrete Cracks (2016)
  • 著者名/発表者名: Muzafalu Kayondo，Toshiharu Kishi
  • 雑誌名: コンクリート工学年次論文集 巻: Vol.38, No.1 ページ: 1671-1676
  • 査読あり / 謝辞記載あり
• [雑誌論文] 微小空隙に存在する液状水が移流による塩分浸透に与える影響 (2016)
  • 著者名/発表者名: 鎌田知久，岸利治
  • 雑誌名: コンクリート工学年次論文集 巻: Vol.38, No.1 ページ: 849-854
  • 査読あり / 謝辞記載あり
• [雑誌論文] 実構造物コアを用いた室内塩水浸せき試験による各種混和剤の塩分浸透抵抗性の評価 (2015)
  • 著者名/発表者名: 鎌田知久，岸利治
  • 雑誌名: コンクリート工学年次論文集 巻: Vol.37, No.1 ページ: 787-792
  • 査読あり
• [学会発表] 長期海洋暴露試験に基づく高炉スラグ微粉末の置換率 を変化させたコンクリートの塩分浸透性に関する検討 (2017)
  • 著者名/発表者名: 与那嶺一秀，山路徹，審良善和
  • 学会等名: 第44回土木学会関東支部技術研究発表会
  • 発表場所: 埼玉、埼玉大学
  • 年月日: 2017-03-07
• [学会発表] コンクリート中への塩分浸透停滞現象の支配要因に関する実験的検討 (2015)
  • 著者名/発表者名: 志村雅仁、岸利治、鎌田知久
  • 学会等名: 第69回セメント技術大会
  • 発表場所: 東京、ホテルメトロポリタン
  • 年月日: 2015-05-12 – 2015-05-14