研究課題/領域番号 |
25249066
|
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
神田 学 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (90234161)
|
研究分担者 |
足永 靖信 国土技術政策総合研究所, その他部局等, その他 (20360464)
藤吉 康志 北海道大学, 低温科学研究所, その他 (40142749)
小田 僚子 千葉工業大学, 工学部, 准教授 (50553195)
鈴木 真一 国立研究開発法人防災科学技術研究所, その他部局等, 研究員 (60462503)
稲垣 厚至 東京工業大学, 理工学研究科, 助教 (80515180)
仲吉 信人 東京理科大学, 理工学部, 講師 (90706475)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 乱流構造 / 都市気象 / LES / ドップラーライダー / 建物解像 |
研究実績の概要 |
本研究は、(1)高い時空間分解能の広域乱流モニタリング(走査型ドップラーライダー)、(2)建物を解像し街区全体を包含する広域乱流モデリング(超並列ラージエディー・シミュレーション)、という2つの最先端技術を併用し、都市上空の3次元乱流構造の解明と予測手法の確立を目的としている。今年度は、以下の具体的成果を得た。 (1)前年までに引き続き、ライダーの連続観測データから、乱流構造パターンを分類し、出現頻度や季節・時間的特徴を定量化した上でデータベースを構築した。今年度はさらに目視分類・画像認識を用いた自動分類の比較を行い、精度検証を行った。 (2)高頻度で出現し、物質・運動量交換に重要な役割を果たす大規模筋状構造の筋間隔を、無次元高度と局所的シアーで、実験室から実大気現象までのマルチスケールを統一的に説明した。今年度はさらにその物理的解釈を行い、これまでの(1)(2)の成果を集約して国際誌への論文投稿を行った(現在査読修正中)。 (3)ライダーと同期して行った地上多点観測の結果より、レイノルズ応力の鉛直分布を利用して、地表面シアーの影響が及ぶ高さを定義する新しい接地境界層の概念を新たに提案した。 (4)ドップラーライダーや地上観測点を含む、風上方向20km・スパン方向4kmの広大な都市領域において個々の建物を2mので解像した超並列LES計算の分析をさらに進め、上記(2)(3)で得られた新しい概念を、詳細な数値計算の助けを借りてより堅牢な理論へと改善させた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほぼ計画通りに目標が達成されている。 当初予定していた大気乱流構造の解明という目標を超えて、実験室のスケールから実大気現象まで、また、さまざまな大気安定度条件を含んだ、包括的な筋構造の定量化理論の提案・確立に成功しつつある。これは、流体力学全般に寄与する成果として期待させる。また、風速シアーの卓越した層をレイノルズ応力の分布から定義する新しい接地境界層の概念も提案することができた。当初目標としていた、予測に向けた取り組みがまだであることと、これまで得られた重要な成果を国際誌に投稿していくことが最終年度の課題となる。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでに得られた重要な成果を国際誌を通じて発信することが最優先である。その多くは、現在鋭意執筆中であるが、その過程でデータや理論武装の不足を、追加的なライダー観測・地上観測・超並列LES計算によって補い、補強して、課題を完結する予定である。
|