研究課題/領域番号 |
25249073
|
研究種目 |
基盤研究(A)
|
研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
渡辺 義公 中央大学, 中央大学研究開発機構, 機構教授 (00040999)
|
研究分担者 |
木村 克輝 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10292054)
山村 寛 中央大学, 理工学部, 助教 (40515334)
佐藤 久 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80326636)
|
研究期間 (年度) |
2013-10-21 – 2016-03-31
|
キーワード | 下水処理 / 膜分離活性汚泥法 (MBR) / 多機能MBR / 有機物・窒素・リンの同時除去 / 汚泥処理 / リン回収 / 膜分離型消化槽 / ジルコニアメゾ構造体(ZS) |
研究概要 |
(1) Buffled Membrane bioreactor (bMBR)の「信頼性向上+低コスト化」実現: 長さ3 mのPTFE膜を用いた処理流量14.4 m3/日のbMBRによる実下水を原水とする2ケ月間の実験を行った。Flux 0.4 m/日(bMBRのHRTは6時間)において、処理水のBOD, T-N, T-Pの平均値はそれぞれ0.7, 6.8, 0.9 mg/Lであった。bMBRの消費電力は0.35 kWh/m3であった。PTFE膜モジュ-ルのばっ気による膜洗浄効率を高めるためにモジュ-ル直下からばっ気する構造を持つPTFE膜モジュ-ルを考案した。このモジュ-ルの効果を、高速度カメラによる膜の振動度計測とMBR実験によって実証した。 (2) bMBR余剰汚泥からのリンの回収システムの構築: 既存の下水処理場のbMBRパイロットプラントの余剰汚泥を用いた「膜分離型消化槽」による実験を行った。136日間の実験によって、61目から76日間に投入された汚泥に含有された8.0 gのT-Pの内の5.8 gが可溶化して膜透過水に回収された。しかし、約20 gのT-Pが消化槽内汚泥に蓄積していた。来年度は汚泥蓄積リンを植物根が分泌する酸性フォスファタ-ゼによる可溶化促進に行う。 リン酸を特異的に陰イオン交換によって吸着するジルコニアメゾ構造体(ZS)によるリン吸着実験を行った。粉末ZSをAramid-Polymer製の鈴形状担体に入れた粒状ZSを作成し、リン酸濃度10 mg/Lの原水を連続通水してリン酸破過実験を行った。Bed Volume 1020までリン酸の破過は無かった。粒状ZSに吸着したリン酸をアルカリ溶液で抽出し、リン回収と粒状ZSの再生を行った。50回再生利用してもZSの吸着能力の劣化はなかった。その間のリン回収率は85 %であった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)bMBRの「信頼性向上+低コスト化」実現: 水深と膜長が実規模に近いパイロットプラントの実験によってbMBRの機能が小型プラントの性能とほぼ等しいことを確認した。ただし、実験を始めたのが冬場であったため活性汚泥濃度が予定した値(10,000 mg/L)にまで上がらず、活性汚泥へのリン取り込み量が少なく処理水のT-P濃度が期待値より高かった。今年度は夏場の実験を行い、活性汚泥濃度を高めてT-P除去効率を高めたい。PTFE膜モジュ-ルのばっ気による膜洗浄効率を高めるためにモジュ-ル直下からばっ気する構造を持つPTFE膜モジュ-ルを考案した。このモジュ-ルの効果を、高速度カメラによる膜の振動度計測とMBR実験によって実証した。 (2)bMBR余剰汚泥からのリン回収 システムの構築: Aramid Polymer製の鈴形状担体に入れた粒状ZSを作成に成功し、それを用いたリン吸着カラム実験によって粒状ZSを50回は再利用できることを確認した。ただし、カラム実験では原水リン酸濃度が10 mg/Lと低かったので、来年度は数百mg/Lに高めたカラム実験を行い、実用化できる形でシステムを稼動させる。
|
今後の研究の推進方策 |
(1) bMBRの「信頼性向上+低コスト化」実現: 実験を始めたのが冬場であったため活性汚泥濃度が予定した値(10,000 mg/L)にまで上がらず、活性汚泥へのリン取り込み量が少なく処理水のT-P濃度が期待値より高かった。今年度は夏場の実験を行い、活性汚泥濃度を高めてT-P除去効率を高めたい。現在の膜モジュ-ルで膜透過Fluxを0.6 m/日、HRTを4時間とした実験を行い更なる効率化・省エネ化を目指す。 水深と膜長が現パイロットプラントと等しく、断面が小さいbMBRパイロットプラントによる実験を来年度と再来年度に行い、改良型PTFE膜モジュ-ルを用いた行い超省エネ型bMBRの実現の可能性を目指す。 (2) bMBR余剰汚泥からのリン回収 システムの構築: カラム実験では原水リン酸濃度が10mg/Lと低かったので、来年度は数百mg/Lに高めたカラム実験を行い、実用化できる形でシステムを稼動させる。汚泥蓄積リンを植物根が分泌する酸性フォスファタ-ゼによる可溶化促進に行う。酸性フォスファタ-ゼが活性汚泥から核酸態リン、脂質態リン、タンパク態リンを溶出させることは、渡辺が研究代表を務めたJST戦略的基礎研究(CREST)において分担研究者(現広島大学准教授 和崎 淳氏ら)が明らかにしている。和崎氏から植物根が分泌する酸性フォアウファタ-ゼの提供を受ける件でな内諾を得ている。
|