研究課題/領域番号 |
25249084
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
石田 潤一郎 京都工芸繊維大学, その他部局等, 教授 (80151372)
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研究分担者 |
清水 重敦 京都工芸繊維大学, その他部局等, 准教授 (40321624)
三宅 拓也 京都工芸繊維大学, その他部局等, 助教 (40721361)
中川 理 京都工芸繊維大学, その他部局等, 教授 (60212081)
小野 芳朗 京都工芸繊維大学, その他部局等, 教授 (50152541)
赤松 加寿江 京都工芸繊維大学, 学内共同利用施設等, 講師 (10532872)
高妻 洋成 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, その他部局等, その他 (80234699)
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研究期間 (年度) |
2013-10-21 – 2018-03-31
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キーワード | 模型 / 日本建築 / 博覧会 / 海外 / 展示 / 建設技術 |
研究実績の概要 |
本研究は、近代日本が博覧会という機会にどのように建築を展示してきたか、という面から日本の建築文化の海外発信、及び海外の建築文化の受容の様相を探ろうとするものである。 前年度までウィーン世界博物館に所蔵されるウィーン万博出展の大名屋敷模型の調査を進めてきたが、研究分担者の清水を中心に、この成果のとりまとめを進めた。さらにこれに引き続いて、平成27年度はドイツ国内での日本建築模型の所在調査に取り組み、6月に石田と三宅がハンブルク民俗芸術博物館、ブレーメン海外博物館、ベルリン民族学博物館、ミュンヘン五大陸博物館を訪問して調査をおこなった。そこでは個々の模型の実測をおこない、インベントリーをはじめとする資料から制作年代、制作者等を解明した。 ここまでのドイツ語圏の調査結果についての考察は東アジア建築文化会議で一端を発表した。そこではウィーン世界博物館の大名屋敷模型とミュンヘン五大陸博物館のそれとを比較して、18年遅い後者では、比例関係の整序が進む一方で、技法・工法を伝えようとする姿勢は希薄になっていて、「様式」としての伝達の傾向が強まることを指摘した。 一方、国内での調査においては、1876年のフィラデルフィア万博の出典物について基礎調査をおこなった。また1910年の日英博覧会について、厳島神社模型と大島盈株による書院の実大建築に関しての調査を進めた。同時に、同万博において初めて多数出展された洋風建築の内容を精査し、明治末期の時点での「ヨーロッパに紹介したい現代日本建築」について考察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題では、当初、以下の4項目の目的を設定した。①建築展示物インベントリー作成のための基礎的情報収集・整理、②ヨーロッパ所在の建築展示物の現存状況調査、③国内所在の建築展示物の現存状況調査、④関連研究の実施と研究会の開催。 このうち①については明治期の大型博覧会の資料調査は着実に進捗している。②についてはドイツ語圏に関しては完了した。③は①と連動して調査を継続している。 ウィーンの大名屋敷調査報告書の完成が遅延しており、そのこともあってシンポジウム等の開催ができておらず、また非ドイツ語圏での調査が実施できなかったという問題もあるが、国際学会での報告も好評をもって迎えられていて、現段階での目的はほぼ達成できていると考える。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度においては、前年度からの課題であるウィーン世界博物館所蔵の大名屋敷模型に調査報告を完成させ、ドイツ語圏の調査結果と合わせて研究会ないしシンポジウムを開き、研究成果の検証を進める。あわせて、すでに予備調査をおこなっているオランダのほか、パリ万博の展示模型を所蔵するイタリア・パドヴァ、日英博展示模型を所蔵するフランス・リヨンの各博物館についての調査を実施する。また前年度に指摘した制作者側の模型観の変化について、国内での事例と対照しつつ考察を深める。
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