研究課題
最終年度である平成28年度は、これまでと同様に新たな物質の探索、構造解析、物性測定を進めるとともに、これまでに得られた結果を整理し、公表することに努めた。平成28年度に得られた具体的な研究の成果は以下のとおりである。高温高圧での固相反応を利用して新規酸化物の合成を試み、構造解析と物性測定を行った。これまでに合成に成功し結晶構造や磁性・誘電性を明らかにしてきたScFeO3、InFeO3、ScCoO3、InCoO3に加え、今年度はScNiO3およびInNiO3の高圧合成に成功した。これらの化合物はペロブスカイト型構造となること、低温で反強磁性転移を示し、ネール温度は多くの希土類ニッケル酸化物と同じくAサイトのイオン半径に依存することなどを明らかにした。これまでの年度の研究成果も含め、一連の3d元素をベースとしたペロブスカイト型(広義の視点でニオブ酸リチウム型を含む)酸化物の物質群の拡張が実現した。バルクでの構造解析に成功していたEuNbO3について、単結晶基板の選択や合成条件の工夫により良質のエピタキシャル薄膜を作製することに成功した。得られたEuNbO3薄膜は化学量論組成を持ち、低温で強磁性相に転移した。また、電気伝導は金属的な挙動を示した。さらに、キュリー温度付近では負の磁気抵抗効果が見られた。新しい機構の強誘電体・圧電体の関連では、いくつかのルドルスデン‐ポッパー相を対象に、X線回折と中性子回折に基づく構造解析、光第二高調波発生や誘電分極の測定による誘電性の評価、フォノン分散の理論計算などを行い、八面体位置の回転モードがハイブリッド間接型強誘電性を導く物質群を見いだすことに成功した。以上の成果は国際会議での発表(招待講演を含む)として公表し、論文として投稿する準備も進めている。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (6件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 2件、 査読あり 5件、 謝辞記載あり 5件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (15件) (うち国際学会 7件、 招待講演 6件)
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