研究課題
本研究は、電子線ホログラフィーと新規に開発した2次電子検出器を駆使して、透過電子顕微鏡内で電子線照射下の絶縁体試料の帯電現象の詳細を、電場分布と2次電子の解析を通して、明らかにすることを目的としている。本課題で新規に開発した2次電子検出器は、平成26年度までは調整が続いていたが、平成27年ではほぼ調整が終了し、様々な種類の試料片からそれぞれ固有のスペクトルが取得出来るまでに至っている。その計測・解析結果は本年(平成28年)6月に仙台で開催される日本顕微鏡学会学術講演会で発表する予定である。電子線ホログラフィーによる帯電現象の解析は、平成26年度までは主に複雑な形状をした生物試料に対して行っていたのに対し、平成27年度は、集束イオンビーム技術を用いて特殊な形状に加工制御した非生物絶縁体試料を解析対象とすることで、試料形状に由来した試料帯電および2次電子運動を検証する実験が進んだ。具体的には、エポキシ樹脂に微細加工を施した試料に対して、電子線ホログラフィーで得られる「位相再生像」に、電場分布シミュレーション結果をフィッティングさせることで、試料周辺の電場分布の精密な評価を行った。その後に同一観察視野において電子線ホログラフィーで得られる「振幅再生像」からは2次電子の集団運動に伴う電場の乱れを評価した。これら2つの結果を比較することで、高電位の試料表面で2次電子が他の領域に比較し高密度で運動している様子が明らかになった。この成果は昨年(平成27年)9月に福岡で開催された日本金属学会秋期講演大会で発表した。また、誘電体材料であるチタン酸バリウムを、集束イオンビーム技術を用いて特殊な形状に微細加工し、2次電子が集団で運動している様子を観察する実験も進め、その解析結果の一部は、本年(平成28年)3月に東京で開催された日本金属学会春期講演大会において発表した。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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