再生可能エネルギーの基幹電力ネットワークへの連系は現在喫緊の課題であり、これを支える基幹技術として、安価かつ安定に動作する大規模エネルギー変換貯蔵デバイスの開発が急務である。本デバイスでは充放電操作に伴う電極表面プロセスの制御、特に金属負極表面の平滑性制御が大きな課題である。このような観点から、本研究では充放電操作に伴う金属種の析出/溶解反応機構を、メソ空間内に閉じ込められた界面微細構造形成と物質移動との連結現象という観点から検討し、固液界面反応機構の詳細な解析を進めた。 今年度は従来の成果を基に、モデル系として電子線リソグラフィー法で形成した10nm径極微ポア内での電析核発生現象の解析を試みた。比較的貴な電位で核発生させた場合、単結晶状と考えられる析出核発生条件を見出し、断面TEM観察により基板界面に垂直配向した結晶格子像を確認した。またこれと並行して空気亜鉛電池負極の固液界面反応に焦点を絞った研究を進めた。金属空気電池(アルカリ水溶液-Zn系)への応用を念頭に、すなわち充電操作下でのZn核発生成長過程に着目し、その可逆性を阻害するmossy構造形成過程に対し核発成長現象の観点から解析を行った。ZnOアルカリ水溶液にて定電位Zn電析を行ったところ、比較的卑な電位領域では層状形態が,また貴な電位領域ではスポンジ状構造が形成した。またSEM観察により電析初期は層状形態が認められ、底部では局所的に層状特徴を有する突起構造が確認された。すなわちスポンジ構造形成は層状成長抑制により開始し、一度形成した構造が高い反応性を持つことで優先成長することを見出した。これらの知見を基に界面微細構造形成のモデル化を行った。
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