研究課題/領域番号 |
25249105
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
長坂 徹也 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30180467)
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研究分担者 |
三木 貴博 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30312606)
松八重 一代 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50374997)
平木 岳人 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60550069)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 電気炉ダスト / 亜鉛 / リサイクル / 産業廃棄物 / ハロゲン / インジェクション / 微粒子センサー / 粉塵 |
研究実績の概要 |
本研究は、世界中の電炉鉄鋼メーカーにとって頭痛の種のひとつである電炉ダスト処理問題の解決のために、ダスト性状のオンサイト改質と発生量低減を目指した電炉内へのダスト吹込技術の科学的基礎を確立することを目的としている。先行する現場実験と並行し、実験室規模で溶鋼中あるいは溶鋼上に保持されたスラグ中にダストを吹込み、ダストの発生量および組成を系統的に分析し、その成分移行メカニズムを解明する。本研究は、(1)溶鋼、溶融スラグへのダスト吹込ラボ実験、(2)ダスト発生量と性状に及ぼすダスト吹込の影響のオンライン計測、(3)ダスト吹込に伴う各成分の化学的状態変化の実測であり、これらの結果に基づいて、(4)ダスト吹込技術の経済・環境影響評価、および現場実装を最終ゴールとする。前述の4つのサブテーマの内、平成26年度は、昨年度に引き続き、(1)および(2)について実施した。 (1)では、得られたダスト組成および亜鉛の存在形態と吹き込み時間の関係より、亜鉛は二次ダスト中において明らかに濃化しており、スラグの有る無しに関わらず、約50%前後という非常に高い濃度が得られることがわかった。一方、 鉄は両者において明らかに減少しており、ほぼ分析限界まで低減していた。また、亜鉛はほぼ全量がZnOであり、吹き込んだダスト中に含まれていたZnFe2O4やZnCl2はほとんど確認できなかった。このことから、吹き込みダスト中のZnFe2O4は溶鋼もしくはスラグ中のFeOによって還元されるために、ZnOへ転化されることが示唆された。 (2)では、インジェクションを開始するスクラップ追装直後にダスト発生量が著しく増加していることがわかった。また、ダストの発生量は、ダスト吹き込みの有無に関わらず、電炉の操業中のアクションや炉内スクラップの挙動によって大きく変化することを直接モニタリングすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究を構成する4つのサブテーマは、下記のようになっており、当初予定通り、平成26年度までにサブテーマ(1)は完了し、サブテーマ(2)も計画通り遂行することができた。従って、現在までの達成度は100%である。 (1)溶鋼、溶融スラグへのダスト吹込みラボ実験(平成25、26年度) (2)ダスト発生量と性状に及ぼすダスト吹込の影響のオンライン計測(平成25、26、27年度) (3)ダスト吹込に伴う各成分の化学的状態変化の実測(平成27年度) (4)研究結果の総括、経済・環境影響評価および現場実装試験(平成27年度)
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今後の研究の推進方策 |
前述のように、上記の4つのサブテーマの進捗は当初計画通りであり、平成27年度も当初予定通り実施する。すなわち、計画上は、特段の問題は生じていない。 前述のサブテーマ(2)ダスト発生量と性状に及ぼすダスト吹込の影響のオンライン計測では、愛知製鋼第一製鋼工場に設置したセンターとサンプリングポートの設備を定期的に使用し、ダスト発生量と成分変化をオンラインで測定する。蓄積したデータより、センサーシグナル強度をダスト発生密度の絶対値に換算する実験式を導き、作業アクションとダスト発生量の関係を解析する。現状までの知見では、スクラップ溶け落ち前後の10分程度の期間で亜鉛濃度が30~40%でZnOの存在割合が非常に高く、鉄濃度が10~15%と低い、いわば亜鉛品位が非常に高いダストが発生している。このことを受けて、集塵系にバイパスを設け、亜鉛リッチなダストを個別に捕集するシステムを検討している。 前述のサブテーマ(3)ダスト吹込に伴う各成分の化学的状態変化の実測では、全亜鉛中のZnOとZnFe2O4の存在形態の定量化に加え、ハロゲン類の存在形態を明らかにする。現状までの予備的検討では、STMAS-NMRを用いたフッ素のNMRシグナルの検出に成功しており、ハロゲン類の化学的存在状態の解明と操業アクションの関係について明らかにする。 以上の結果を踏まえ、サブテーマ(4)研究結果の総括、経済・環境影響評価および現場実装試験では、特に亜鉛の物質フローに及ぼすダスト処理が及ぼす影響を、申請者らが所有している計量経済モデルを用いて解析し、その波及効果を明らかにする。これに加え、実際に研究協力者の愛知製鋼第一製鋼工場において、ダストインジェクションをルーチン化し、ダストの総発生量の削減効果を実証する。
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