研究課題/領域番号 |
25249107
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 公益財団法人若狭湾エネルギー研究センター |
研究代表者 |
中嶋 英雄 公益財団法人若狭湾エネルギー研究センター, 所長 (30134042)
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研究分担者 |
笹瀬 雅人 公益財団法人若狭湾エネルギー研究センター, 研究開発部, 主任研究員 (60359239)
山岸 隆一郎 公益財団法人若狭湾エネルギー研究センター, 技術相談室, 嘱託 (60647048)
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研究期間 (年度) |
2013-05-31 – 2016-03-31
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キーワード | ポーラス金属 / 磁場 / 凝固 / 多孔質 / 気孔率 / マグネシウム / 水素 / 超伝導マグネット |
研究概要 |
金属の溶融状態と凝固状態の水素の溶解度差を利用して一方向凝固によって気孔が一方向に揃ったロータス型ポーラス金属を作製することができる。しかしながら、凝固時の液相の対流などにより気孔が一方向に配向するものの、気孔の成長が途中で中断してしまう。そのため気孔径に対する気孔長さの比であるアスペクト比が十分でない。貫通気孔に冷媒を流すヒートシンクなどの用途を考えた場合、大きなアスペクト比を有する気孔の成長が望まれる。本研究では、定常磁場を負荷することによって融液の対流を抑制し気孔の成長を錯乱する要因を除去した環境で気孔を成長させる手法を確立させることを主たる目的として研究を行なっている。 本研究では前述した目的を達成するために10Tの磁場を発生することのできる超伝導マグネットを購入し実験室に設置した。また、超伝導マグネットのボア内に取り付けるロータス金属の作製のための溶解炉を作製完了した。この溶解炉の中心部にはモリブデンによる抵抗式加熱炉とその直下に冷却用チラーを直結させた鋳型を設置した。鋳型内には予めダミーバーを挿入し溶融マグネシウムを上部に充填させた後、直線導入機構によってダミーバーを下方に移動させることによって連続的に鋳造を行う。マグネシウムをポーラス化するために溶解炉には0.1~0.2MPaの水素ガスを充填することができる能力を有する。超伝導マグネットを稼働するために実験室内にサーモチラーを設置して、超伝導マグネットを稼働させ、所定の磁場10Tを出力することを確認した。しかしながら実験室内にサーモチラーを設置すると実験室内の室温が上昇し実験に支障をきたすことが判明したので、実験室屋外に取り付けるための工事を早急に行うことになった。この工事が完了すれば、目的の実験を本格的に実施することができる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
超伝導マグネットの納入が遅れて平成26年3月4日になった。それに伴い、すでに作製を完了していたロータス金属作製のための溶解炉の設置も遅れることになった。しかしながら、現時点において実験装置の部品はすべてそろっているので、平成26年度前期でその遅れを挽回することができると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
超伝導マグネットのボア内に作製した溶解炉を取り付けロータス金属作製装置とした。マグネシウムをポーラス化するために溶解炉には0.1~0.2MPaの水素ガスを充填し、連続溶解凝固により長尺のロータスマグネシウムを作製する。このようにして作製したマグネシウム凝固材をワイヤーカット放電加工機で切り出し、気孔径、気孔長さ、気孔方向、気孔率、気孔同士の癒着度などを詳細に調べる。これらの数量に大きく影響を及ぼすと考えられる水素圧力、鋳型部の温度勾配、ロッドの移動速度(凝固速度)、磁場強度のパラメーターを変化させることによって気孔長さおよびアスペクト比が最大になる条件を見出す。さらに磁場が溶融金属の対流に及ぼす影響やアスペクト比に及ぼす効果に関する理論的考察を行う。本研究を遂行するための大きな問題点は存在しない。
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