研究課題
本研究は、分子様ナノ粒子をモノマーとしてとらえ、ナノ粒子ポリマー合成を行うとともに、表面に呈示される有機分子を制御することで、粒子間相互作用を制御し、さらに外場を付与することで超結晶構造形成させることを目的としている。本年度は、超臨界場での流動、反応、核発生、ミセル形成の現象、分子様ナノ粒子合成機構を解明し、その結果を速度論的に記述することで反応プロセスの設計基盤を作った。また、ミセル形成については、各露出面での表面エネルギー低下とナノ粒子形状との関係を解析した。さらに、表面での結合形成の機構解明を行い、分子様ナノ粒子の分子設計の基盤を作った。ミセル形成時の各面への有機修飾基の吸着エネルギーの違いにより、粒子形状、露出面が変わる。そこでShlugerらは、第一原理計算によるナノ粒子形状に与える吸着剤の影響の評価・推定を行い、阿尻らと共同でMD計算も融合させ、超臨界場での表面の電荷、有機分子の解離条件、水密度の影響も考慮した検討を行った。このように、反応場の流動、相転移、有機修飾能に関する情報を統合的に取り入れることで、例えばジカルボン酸、ジアミン等の2官能有機修飾剤がどのような条件で反応・有機修飾されるかの情報を整理した。例えば、カルボン酸を呈示させたナノ粒子とアミンを呈示させたナノ粒子は、脱水縮合させることでナイロン合成と同様に、2種のナノ粒子を重合させることができ、合成された異方性粒子を用いることで、2次元、3次元の重合を検討した。
1: 当初の計画以上に進展している
研究計画に挙げた項目を全て実施するとともに、さらに数学研究者と連携することで、複合化構造の解析手法に新しい道筋をつけることに成功したため。
昨年度までの研究をさらに進める。マイクロリアクターシステムと流動場シミュレーションを総合的に解析することで、反応場での反応、中間体生成、ミセル形成について反応機構を解明する。またその結果を速度論的に記述することで最適な反応条件の設計する反応工学基盤を構築する。ナノ粒子表面の有機分子の結合状態、結合分子密度、とナノ粒子形状(露出面)についても、実験と計算科学とを比較検討し、最終的には分子様ナノ粒子の設計基盤を確立する。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (12件) (うち招待講演 10件)
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