研究実績の概要 |
①急速蒸着法によるCNT-金属複合集電体創成と活物質複合化によるポーラス電極開発 Cu箔はLi二次電池負極の主要な集電体で、軽量化が課題である。CNTとCu蒸着膜が直接接合したバインダーレスの三次元集電体を開発した。CNT垂直配向膜にCuを蒸着、自己組織化でCNT壁状構造体を実現した。さらにSi-Cuを蒸着、40サイクルで1500 mAh/g-Si, 2 mAh/cm2の高い放電容量を実現した。Al箔はLi二次電池正極やキャパシタ電極の集電体として多用される。CNTスポンジ膜やCNT垂直配向膜などへのAl蒸着により多様なCNT-Al三次元集電体を実現、さらに活物質層にAlを蒸着する逆転の発想を行い、レート特性に優れたCNT-活性炭/Alキャパシタ電極を実現した。
②CNTスポンジ膜中への活物質包含によるソフト電極開発 S@CNTソフト電極では、昇華法に注力して特性向上を進めた。S包含量は60 wt%程度で最も優れた特性が得られた。高濃度電解液を併用、100サイクル時に約800 mAh/g-Sの高い放電容量を実現した。Si@CNTソフト電極では、Siナノ粒子の粒径制御、Si/CNT比制御により性能向上を進め、100サイクルで900 mAh/g-Si, 0.7 mAh/cm2の放電容量を実現した。さらに現行電池で正負極に用いられているLiCoO2、黒鉛を用いたソフト電極を作製、両者を組み合わせた全電池を開発した。1 wt%のCNTで99 wt%の活物質を保持、130 mAh/g-LiCoO2, 353 mAh/g-graphiteと実用電池と同等性能を実現した。バインダーレス、金属箔レスのため、電極総質量あたりの性能はとても良好であった。さらに50 mm角のラミネートセルを作製、金属箔の櫛形電極で動作、CNTによりバインダーと金属を実電池からほぼ無くせることを示した。
|