研究課題/領域番号 |
25249115
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
津本 浩平 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90271866)
|
研究分担者 |
長門石 曉 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30550248)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 生物・生体工学 / 蛋白質 / 分子認識 / 低分子スクリーニング |
研究実績の概要 |
本研究では、熱量測定を基盤とした物理化学的解析を駆使して、化合物ライブラリーから有効なヒット化合物を選別するヒットバリデーションへの適応とその有用性を検証し、高親和性リガンドを創製するための合理的設計戦略を提案することを目標とする。具体的には、ハイスループットなヒットスクリーニングを実施することによって得られるヒット候補化合物に対して、熱量測定(等温滴定型熱量計ITCや示差走査型熱量計DSC)による結合作用を評価し、特異的、選択的結合を示す化合物を洗い出す。さらに化合物の結合に関する構造解析を実行し、熱的変化との相関性について情報集積を行い、構造類似体などの結合情報と共に解析結果をフィードバックし、合理的なバリデーション戦略の指針を創出する。 本年度では、フラグメントライブラリーを利用した1次(ヒット)スクリーニングを実施した。 スクリーニングのためのアッセイ系構築のため、蛋白質が安定に存在できるbuffer条件の最適化を行った。さらに表面プラズモン共鳴法SPRを用いたアッセイ系構築においては、標的蛋白質の固定化条件の検討を必要とした。標準アナライトを用いて、固定化した蛋白質の活性保持率を評価し、スクリーニングに耐えうる連続的な結合評価が可能かどうかを試験した。その他に、サーマルシフトアッセイ、またプレートリーダーによる分光アッセイなどのハイスループット装置に関して、各種蛋白質へ結合するヒット候補化合物を選抜するためのアッセイ系構築を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1次スクリーニングのためのアッセイ系を構築するために、蛋白質が安定に存在できるbufferの最適化に関する知見が得られた。さらに表面プラズモン共鳴法SPRを用いたアッセイ系構築においては、標的蛋白質の固定化条件に関する知見も得ることができた。以上より、本アッセイ系がスクリーニングに耐えうる連続的な結合評価を実施することができた。さらには、サーマルシフトアッセイ、またプレートリーダーによる分光アッセイなどのハイスループット装置に関して、各種蛋白質へ結合するヒット候補化合物を選抜するためのアッセイ系構築を行った。
|
今後の研究の推進方策 |
再検討によって構築されたスクリーニング系より、ヒット候補化合物を選抜する。得られた化合物に対して、熱量測定によるバリデーションを実施する。化合物の結合挙動をITCにより、また蛋白質の熱安定性変化をDSCにより解析を行う。 ヒットバリデーションより選択的、特異的結合が示された化合物に対し、類似構造探索を行い、より結合親和性の高い化合物の探索(2次スクリーニング)を遂行する。これらに対しても熱量解析を試み、熱的バリデーションの有用性を検証する。 以上の流れによって、化合物ライブラリーから熱量解析を基にした有用なヒット化合物の選別を行う。
|